モスクワを7月末に訪れていた鈴木宗男参院議員(比例代表、無所属)は8月4日、北海道根室市であった「北方領土返還要求根室市民大会」に来賓として出席した。元島民が北方領土墓参に行くとするならば「ロシアのビザを取って行くしかない」と語り、そうした現実を「外務省は元島民に正直に話していない」と批判した。
鈴木氏は、大会後の元島民らとの懇談会などで7月30日にモスクワで行われた前駐日ロシア大使のガルージン外務次官らとの会談内容を説明。2022年9月5日にロシア側は「ビザなし交流の日露合意終了」を日本側に通告した。このときに日本側は「停止」という柔らかい表現で言い換え、国民に伝えていたと明らかにした。
鈴木氏は「そんな甘いものでなく、外交用語で『終了』『破棄』を意味するロシア語であるという現実が今回の訪露で分かった」と強調。ウクライナ侵攻後の「日本の度重なる制裁」が原因で、ビザなし交流を再開するとすれば日露間で改めて枠組みを構築する必要があり、「どこかで元に戻ると考えていたら大間違い」と述べた。
一方、ガルージン次官らは「1986年の北方領土墓参の枠組みは破棄されていない」とし、墓参を行いたいのであれば、「どうぞロシアのビザを取って来てください」とのスタンスだったという。
鈴木氏は「元島民が希望しても(日本政府は)させないだろう」という考えを示しつつ、平均年齢が88・5歳になる元島民の高齢化を考えれば、人道的な観点から「墓参だけは特別な配慮を」と元島民らが声を上げるべきだと話した。【本間浩昭】
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