長崎市の鈴木史朗市長は2日、長崎原爆の日(9日)の平和祈念式典で読み上げる平和宣言の骨子を発表した。長崎で被爆し没後50年を迎えた詩人の福田須磨子(1922~74年)の詩を引用して被爆の惨状と被爆者の苦しみを伝え、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢を踏まえながら、核兵器使用への危機感を訴える。
福田は爆心地近くで両親と姉が爆死した悲しみや怒り、自らの病気や生活の苦しさを詩で表現した。鈴木市長は記者会見で「力強い言葉で核兵器の非人道性や被爆者の切実な思い、魂の叫びが表現されている」と引用する理由を説明した。
宣言では、ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢を踏まえ、「『核兵器を使ってはならない』という人道上の規範が大きく揺らいでいる」と危機感を表明。核兵器保有国や「核の傘」の下にいる国の指導者に核兵器廃絶にかじを切るよう求める。日本政府には核兵器禁止条約への署名・批准、憲法の平和理念の堅持、被爆体験者の救済などを求める。
市は、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃を踏まえ、「現時点でも式典で不測の事態が発生するリスクへの懸念に変わりはない」としてイスラエルを式典に招待しないと決定。ロシアと、ロシアを支援するベラルーシについては、出席者の安全確保を理由に3年連続で招待を見送った。【尾形有菜】
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