米国製オートバイ「ハーレーダビッドソン」の国内ディーラーに過剰な販売ノルマを課し、車両を「自腹」で買い取らせるなどした疑いが強まったとして、公正取引委員会は30日、日本法人の「ハーレーダビッドソンジャパン(HDJ)」の本社(東京都新宿区)を独占禁止法違反容疑で立ち入り検査した。関係者への取材で判明した。
国内で「ハーレー」の新車を販売できるのは、HDJと正規ディーラー契約を結んだ店舗のみ。約90店舗がエリアごとに販売を担当し、HDJはこうしたディーラーに対して一方的に販売ノルマを設定。取り扱いを希望しない古い車種を買い取らせるなどした疑いが持たれている。要求に従わない場合には、正規ディーラー契約を更新しないことを示唆していたという。
独禁法は優位な立場を利用して取引先に不当な要求をする「優越的地位の乱用」を禁じており、公取委はHDJの行為が該当するとみている模様だ。
関係者によると、違法性が疑われる行為は、遅くとも2020~21年に始まったとみられる。ディーラーの中には販売ノルマを達成するため、不要な車両を関係者名義で購入し、中古車として販売していた店舗もあった。資金繰りが悪化して廃業したケースもあるという。
日本自動車輸入組合によると、国内に輸入された小型二輪車(オートバイ)の新規登録台数は23年度、2万6887台。このうち「ハーレー」は9979台で37・1%を占め、シェアがトップだった。
米国のハーレーダビッドソンは1903年に米中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーで創業。オートバイはV型2気筒エンジンと大きく武骨な車体が特徴で、日本でも熱烈な愛好者が存在する。過去には特徴的なエンジン音を米特許商標庁に申請したことでも話題を呼んだ。また、米国映画の「イージー・ライダー」や「ターミネーター2」で強いインパクトを残したとされる。【渡辺暢】
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