愛知県一宮市の市立市民病院を退院した女児が窒息状態になり、意識を回復しないまま3歳で死亡したのは、病院側が医療器具の使用方法に関する適切な指導を怠ったためだとして、両親が市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が18日、名古屋高裁であり、長谷川恭弘裁判長は市の過失を認めなかった1審判決を変更し、計約7500万円の支払いを命じた。

長谷川裁判長は、入院中にも医療器具に関係する事故が3回あった点に触れ、病院側は退院後に自宅でも事故が起きる可能性を予想できたと指摘。両親は医師の助言がなければ器具交換さえ満足にできない状態だったなどとして「療養指導義務を履行したとは言えない」と結論付けた。

判決によると、女児は平成30年2月に生まれ、呼吸がしにくい咽頭軟化症と診断され、気管切開手術を受け人工呼吸のためパイプ状の医療器具を付けた。退院翌日の同年8月20日、自宅で寝返りを打った際に人工呼吸の回路が外れ、低酸素脳症となり、意識が戻らないまま令和3年2月に死亡した。

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