茨城県は26日、緊急性が認められない大病院への救急搬送について、各病院が患者から7700円以上の「選定療養費」を徴収する仕組みを導入すると発表した。救急車の適正利用を促すため、12月からの運用を目指す。県によると、同様の仕組みは三重県松阪市などであるが、都道府県単位では初めてという。
県が、一般病床が200床以上ある大病院などと基準を検討してガイドラインを作り、各病院が要請時の緊急性を判断する。県内に25ある大病院のうち少なくとも23カ所が参加の意向を示しているという。
大病院は患者の集中を防ぐため、健康保険法に基づき紹介状を持たない初診患者から選定療養費を徴収しているが、救急車による搬送は「緊急性が高い」として多くの大病院で徴収対象外としている。22年に県内で約13万件あった救急搬送のうち、入院の要らない軽症例は約6万件に上った。一方、搬送先が決まらない救急搬送困難事案は23年は8470件(速報値)と5年間で2・5倍以上に増えており、県は見直しにより救急医療の逼迫(ひっぱく)を抑えたい考え。
大井川和彦知事は定例記者会見で、包丁で指先を切って血がにじんだ▽風邪の症状が3日間続いた――といった軽症例を挙げ「救急車が無料のタクシー代わりになっている現状は憂慮すべきだ」と見直し理由を説明。「本当に必要な方に救急医療を提供できるよう理解をお願いしたい」と県民に求めた。【川島一輝】
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