陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」の射撃訓練を国内で実施できるようにするため、防衛省が東京・小笠原諸島の南鳥島に射撃場の整備を計画している。陸自トップ、森下泰臣陸上幕僚長が25日、定例記者会見で明らかにした。射程が100キロを超えるミサイルの射撃場の整備は国内で初めて。2026年度以降の運用開始を目指すという。
南鳥島には現在、海上自衛隊の部隊が常駐し、航空基地の滑走路など関連施設を維持・管理している。今回の整備計画では、航空基地西側の国有地を舗装して発射機を配備し、沖合の標的に向かって誘導弾を発射する。訓練用のため、爆発の危険性はないという。
射程が百数十キロとされる「12式」の射撃訓練はこれまで、米国と豪州の広大な演習場で行われてきたが、各種調整や長距離移動が懸案となっていた。このため国内に訓練環境を整えることを検討。周辺を行き交う航空機や船舶が少ないことや、航空基地があることから南鳥島を選定した。
森下陸幕長はこの日の会見で「国内で訓練基盤を保持できることは、訓練機会の安定的な確保や練度の維持、向上につながる」と期待を込めた。
防衛省防衛政策局によると、昨夏、東京都と小笠原村に整備計画を説明しており、担当者は「反対意見は特に出ていないと認識しているが、引き続き丁寧に説明していく」と話した。「12式」の射程を約1000キロに延ばした「能力向上型」や迎撃が困難な「島しょ防衛用高速滑空弾」など、開発中のミサイルの発射試験についても、南鳥島での実施を検討している。【松浦吉剛】
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