公務の出張先で報道陣の取材に応じる斎藤元彦・兵庫県知事(左)=兵庫県淡路市の県立淡路景観園芸学校で2024年7月19日午後4時45分、入江直樹撮影

 パワーハラスメント疑惑などを内部告発された斎藤元彦・兵庫県知事は19日、急死した元県幹部が残した陳述書や疑惑に絡む知事の音声データが県議会の調査特別委員会(百条委)で採用されたことについて「百条委(の調査)がそういったデータを含めた証拠に基づいて適切に進められていくということで私も対応していく」と述べた。兵庫県淡路市内の出張先で報道陣の取材に応じた。

 知事は「詳細はまだ私自身も承知していないので明確なコメントはできない」とし、来週の定例記者会見などで説明する考えを明らかにした。

 一連の問題を巡っては、元県西播磨県民局長の男性(60)が3月、パワハラをはじめとする斎藤知事が絡んだ七つの疑惑をまとめた告発文を一部の県議会議員や報道機関に配った。元局長はこの日の百条委に証人として出頭する予定だったが、今月7日に親族宅で亡くなっているのが見つかった。自殺とみられる。

 遺族は12日、元局長が残した陳述書や音声データを百条委側に提出。計11ページに及ぶ陳述書は告発文の内容を詳述したものが想定問答の形で書かれている。

 1分弱の音声データは、2022年11月に知事が公務で兵庫県上郡(かみごおり)町を訪れた際に録音され、特産ワインなどを地元の首長らに求めたとする新たな疑惑を示す内容になっている。

 知事はワインの受け取りを報道陣に認めたうえで、「兵庫県の魅力をいろんな形で知ることが県政全体の施策に資するため、自分自身が体験することに意義がある」と釈明した。告発文に記載されている七つの疑惑については一貫して否定している。

 報道陣から進退について問われると、知事は「時間はかかるかもしれないが、一つ一つの仕事をやっていくことで県民の皆さんにご理解いただけると思う」と改めて辞職を否定した。【入江直樹】

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