男性職員の積極的な育休取得につなげようと愛媛県が開催した研修会。取得経験のある職員がある一日のスケジュールを紹介していた=松山市で2023年8月8日、山中宏之撮影

 愛媛県の中村時広知事は18日、県庁の知事部局など一般行政部門で働く男性職員の2023年度の育児休業取得率が123・5%で過去最高になったと発表した。21年度の35・6%、22年度の39・1%から大幅に増えた。「(男性でも)育休の取得は当たり前」とする職員の意識改革と、取得者が所属する職場への応援体制の強化が奏功したとみられる。

 取得率は①「当該年度以前に子どもが生まれ、当該年度に育休を取得した職員数」を②「当該年度に子どもが生まれた職員数」で割って算出する。そのため100%を超える場合がある。23年度は①が105人、②が85人で100%を大きく超えた。集計中の女性職員も100%を見込むという。

 県は一般行政部門における男性職員の育休取得率の目標を100%に設定。先輩の子育て経験談を聞いておむつ交換をする体験会や、育休前後の引き継ぎ方法を学ぶ研修会を開くなど全職員の意識改革を推進した。23年度からは新たに、取得者と同じ職場で業務を担った職員への勤勉手当の加算や、部局を超えた応援職員の配置を始めるなど安心して取得できる職場づくりを展開してきた。

 一方、23年度の男性職員の平均取得期間は「1カ月以上、半年未満」の33・3%が最多で、「5日未満」の25・7%、「5日以上、20日未満」の20・0%などが続いた。これに対して女性は、最新の22年度で「2年以上」が59・3%を占めた。総務省の調査でも、全国的に女性に比べ、男性の取得期間が短い。

 中村知事も「(県の男性職員の取得期間が)長いかと言われるとそこまでではない」との認識。それでも「大事なのはまず取得すること。(取得しやすい)風土づくりを進めて日数の改善へとつなげていきたい」と語る。仕事と子育ての両立に向け、取得率100%を定着させつつ、いかに期間を延ばすかが次の目標となりそうだ。【山中宏之】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。