横浜地裁=洪玟香撮影

 出産した乳児を殺害し、ごみ置き場に遺棄したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われたタイ国籍のカオピアパニット・ジュン被告(25)の裁判員裁判で、横浜地裁(西野吾一裁判長)は18日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役6年)の判決を言い渡した。

 起訴状などによると、カオピアパニット被告は2022年4月18日、川崎市の自宅浴槽で男児を出産し、殺意を持って水中に沈めたなどとされる。弁護側は殺害の意図はなかったと殺人罪は無罪を主張していた。

 判決では、「捜査段階の自白は基本的に信用できる」と認める一方、「男児を生かすか否か葛藤した」として、「殺意の程度は強いものではなかった」とした。西野裁判長は「謝罪の念をあらわにし、更生支援計画が策定されている。更生の機会を与えるのが相当」と述べた。

 公判では、カオピアパニット被告が泣きながら謝罪。幼少期は母親から育児放棄され、小学5年まで学校に登校することができなかったなど、生い立ちが明らかにされた。証人尋問には「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を運営する慈恵病院(熊本市)の蓮田健院長が出廷し、「孤立出産する女性は母親との関係性が大きく影響する」などと証言した。【横見知佳、宮本麻由】

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