返還された遺品の日章旗を手に笑顔を見せる岡部辰美さんの長女芙佐子さん(右)ら=大阪市住之江区で2024年7月14日午前11時26分、高木香奈撮影

 太平洋戦争末期の1945年6月にビルマ(現ミャンマー)で30歳で戦死した京都府出身の旧日本陸軍兵、岡部辰美さんの遺品の日章旗が14日、遺族の元に戻った。大阪市住之江区の大阪護国神社で返還式が行われた。

 旗には「祈武運長久」の文字と、岡部さんが出征前に勤めていた洋服店の関係者とみられる167人分の名前が寄せ書きされている。

 米国のNPO(非営利組織)「OBONソサエティ」が、英国の自宅に長年保管していた元通信兵の孫から依頼を受け、日本遺族会などの協力を得て大阪府内に住む長女の岡部芙佐子さん(86)を探し当てた。

 返還式には、芙佐子さんと三女の上里蓉史子(よしこ)さん(79)ら遺族、関係者が参列した。OBONソサエティのジーク敬子共同代表から日章旗を受け取り、遺族に手渡した府遺族連合会の岡倉三郎会長は「返還式が平和を考える機会となり、恒久平和の願いが広がることを期待します」とあいさつした。

 芙佐子さんらによると、岡部さんはビリヤードやコーヒー、洋楽などを好んでいた。芙佐子さんは「出征前にお風呂屋さんに連れて行ってもらったことを覚えています。(返還された日章旗を)仏壇に供えたら、亡くなった母も喜ぶと思います」と笑顔で話した。【高木香奈】

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