観光客の急激な増加などによる混雑や騒音、ゴミのポイ捨てなどいわゆる「オーバーツーリズム」が各地で社会問題になっています。

受け入れる自治体側の対策と、現地の状況を取材しました。

山梨・富士河口湖町にある、人気の『映えスポット』。

観光客らによる危険な横断など迷惑行為が相次いだため、町は苦渋の決断として富士山を隠すように巨大な黒幕を設置しました。

設置から1カ月半後、現場を訪れると、外国人らしき観光客はいるものの、確かに数が減ったように見えます。

近隣住民は、「幕がある前と比べると、3割~4割くらいは減ったのかなと感じる」と話します。

また町は、「黒幕には一定の成果があった」としています。

しかし、設置された黒幕には15cmほどの穴が開けられていて、観光客らは、ここからカメラのレンズを差し込み“コンビニ富士”を撮影していました。

中国からの観光客は「私は本当に黒幕が嫌いです。なぜ町はこういうことをしたのか。全く理解できなかった。観光客は写真を撮っていて通行を妨げているかもしれないけど、正直これよりもいい方法はあると思う」と訴えます。

現場の警備員は、「知らん顔して撮っていたりとか、逆に何でみたいな感じで言い寄ってきます」と話しました。

他にも危険な道路の横断や、ゴミのポイ捨て敷地への立ち入りなども相次ぎ、近所の住民からは「オーバーツーリズムってどこでも起こり得るので、そこは良くなったとしても他がまた同じ問題が起きるというのは絶対あるので」といった声が聞かれました。

一方、アニメ「SLAM DUNK」の聖地として脚光を浴びた神奈川・鎌倉市の踏切には、中国や韓国などを中心にスラダンファンが大挙して押し寄せました。

あの踏切は今、どうなっているのでしょうか。

若干減ったように見えるものの、平日にもかかわらず多くの人が訪れていました。

鎌倉市では警備員を配置し注意を呼び掛けていますが、車道にはみ出して撮影する人や、鉄道のガードレールに腰かけ撮影する人、ゴミのポイ捨てなど、マナー違反はなくなっていません。

住民は「急に人が増え始めちゃって。ゴミとかもあるし…。いつまで続くのかなと、住民としては早く静かになってほしい」と胸の内を明かしました。

観光政策に詳しい、日本総合研究所・高坂晶子主任研究員は「何が原因で人気が出るか分からない。観光客が集まってきてしまってから慌てて手段を講じるよりは、SNSなどで検索をされているとか、そういう兆候をできるだけキャッチできるように備える」としています。

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