12日、那覇地裁で開かれた米空軍兵長の被告の男(25)に対する初公判。無罪を主張し、全面的に争う姿勢を示した被告に対し、傍聴した女性たちは「あり得ない。少女を思うといたたまれない」「弱い立場の女性を狙い撃ちしている」と声を震わせた。(社会部・玉城日向子、大庭紗英、末吉未空)

 基地・軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表の高里鈴代さん(84)は被告が行為を認めつつも合意があったと無罪を主張し、誘拐は否認したことに「矛盾している。どうして自分は無罪と言えるのか」と憤る。

■8月には証人尋問「被害者の保護を」

 裁判で明らかになった被害者の身長や体重に触れ、「完全に子どもだ。18歳と間違えるはずがない」と一蹴。「弱い立場の女性を言葉巧みに狙い撃ちしているようにみえる」と指摘した。8月の公判では被害者と母親の証人尋問がある。「ビデオリンク方式」の導入やカウンセラーと連携し、少女を守る必要性を訴えた。

 「あまりにも加害者が堂々としていた」。県内でフラワーデモを主催する上野さやかさん(44)は、被害者への配慮のない態度に「不安を感じた」と話した。

 被害者が未成年であることから、わいせつ目的を隠して子どもを手なずける「グルーミング」があったのではと推測する。事件が起きたのは地域の公園。「子どもを信頼させやすい意図的な声かけが、身近な所で行われているかもしれない状況は異常」と嘆いた。

■「当日に通報 同意考えにくい」

 性暴力の問題を長年取材するライターの小川たまかさん(43)は「年齢の認識や性的同意など、否認できるものは否認していた印象で残念」とうつむく。「被害者は被害をすぐに母親に伝え、当日中に通報されている。それなのに同意があったとは考えにくい」と疑問を呈した。

 「事件は起こっただけじゃなく隠されていた。沖縄の置かれる状況を象徴している」と、無念さをにじませた。

 沖縄大学名誉教授の宮城公子さんは、繰り返される事件に「日本人として恥ずかしいという思いで来た。米軍に何も言えない国は本当に情けない」と嘆く。

■「女性の体を戦場のはけ口にしないで」

 被告が無罪を主張したことに関しては「あり得ない。事件を隠蔽(いんぺい)された少女の6カ月間を思うと、いたたまれない。女性の体を戦場のはけ口にしてほしくない」と怒る。

 なくならない米兵による性暴力に、無力感を感じることもあるという。しかし「諦めて家にいる訳にいかない。生きているうちにどうにかしてほしい、しなきゃと思う」と語った。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。