米空軍兵の初公判で、フラワーデモ主催者の1人、上野さやかさんが傍聴に造花を挿したリュックを持参したところ、那覇地裁が衣服で覆うよう求めた。覆わなければ傍聴できないと告げられ、上野さんは従わざるを得なかった。

 赤やピンクのガーベラなどの約30本の造花は、5年間のフラワーデモで参加者が手にしてきたもの。上野さんは「被害者に『あなたは一人じゃない』と伝えたいみんなの気持ちを連れてきた」と表現する。

 地裁には、プラカードや鉢巻きを禁止する注意書きがある。職員は上野さんに「何かを示すものは持ち込めない」と説明した。地裁は本紙取材に「佐藤哲郎裁判長の法廷警察権に基づく判断だ」と述べた。

 上野さんは「政治的に隠蔽(いんぺい)されてきた事件で、私たちの表現の自由は政治的だとして封じられる。納得できない」と批判した。

 全国でも、同性婚を巡る訴訟で、裁判所が多様性を象徴するレインボーカラーの靴下を隠すよう求めるなどの事例があり、「やり過ぎだ」と批判が上がっている。(編集委員・阿部岳)

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