記者会見中に頭を下げる斎藤元彦・兵庫県知事=神戸市中央区で2024年7月12日午後5時16分、大西岳彦撮影

 兵庫県の元幹部職員による告発文書に端を発した問題は、知事の進退が最大の焦点に切り替わった。「県政を立て直す」と強気の姿勢を崩さない斎藤元彦知事だが、県庁には辞職などを求める電話が今週に入って少なくとも約400件寄せられている。

 文書は元県西播磨県民局長の男性(60)が作成し、3月に県議会関係者や報道機関に配布された。知事が職員にパワーハラスメントをしたり、企業から贈答品を受け取ったりしたという内容だ。「パワハラは職員の限界を超え、あちこちから悲鳴が聞こえてくる」「知事のおねだり体質は県庁内でも有名」といった記述が並んだ。

 「事実無根」「うそ八百」――。斎藤知事は文書の内容を全面的に否定した。県は3月末に局長を解任し、内部調査を実施。5月に公表した調査結果では「核心的な部分が事実ではなく、誹謗(ひぼう)中傷にあたる」とし、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。

 県議会はこの調査結果を「公平性、客観性に欠ける」と指摘。斎藤知事は第三者機関による再調査を表明したが、県議会はより強い調査権限を持ち、虚偽証言には罰則規定のある調査特別委員会(百条委)の設置を決めた。

兵庫県知事らへの批判文書問題の経過

 元局長は19日の百条委に証人として出席予定だったが、7日に死亡しているのが見つかった。県職員約4000人が加盟する県職員労働組合は10日、「もはや県民の信頼回復は望めない」として、知事に事実上の辞職勧告を申し入れた。

 片山安孝副知事は12日、県政の混乱に対する引責で辞表を提出。斎藤知事は辞職を否定しているが、進退を問う声は強まっている。

 斎藤知事は総務省課長補佐や大阪府財政課長などを経て2021年7月の知事選で初当選した。自民党と日本維新の会の推薦を受けたが、自民党県議団の大半が別の候補を支援する保守分裂選挙となった。【山田麻未】

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