千葉県船橋市の自宅で生後11カ月の長男を暴行して死なせたとして母親が逮捕された事件で、児童相談所が野中千巴弥(ちはや)ちゃんを生後5日から約7カ月間、一時保護していたことが11日、明らかになった。傷害致死などの容疑で逮捕された母親の千宙(ちひろ)容疑者(26)が出産直後、ネグレクト(育児放棄)の懸念があると判断しての措置だったという。【松尾知典、林帆南、柴田智弘】
11日に報道陣の取材に応じた千葉市の児相担当者によると、一時保護は、母子らが当時住んでいた千葉市の西部児相が22年8月30日に実施。千宙容疑者らは翌9月に船橋市に転居したが、同児相は23年4月12日まで保護を続けた。千宙容疑者が妊婦健診を受診しないまま千巴弥ちゃんを出産したことが理由だったという。
しかし、千宙容疑者は自身の手元で子育てをしたいという希望があり、千巴弥ちゃんが保育園に行き始めたタイミングで「生活上の心配が解消された」として解除。その後、家庭訪問を実施したが、千巴弥ちゃんから身体的虐待の兆候は確認できなかったという。
同6月に市川児相船橋支所に担当が変わった。同児相を所管する県児童家庭課は10日夜、千葉市中央区の県庁で記者会見し、千巴弥ちゃんが亡くなるまで計4回の家庭訪問をしたと明らかにした。家庭訪問であざや傷などの外傷は見られなかったという。
一方で、千宙容疑者が経済的な不安があったことを認識していたといい、県警にも23年4月以降、ネグレクトの事案として情報提供をしていたと説明した。
同児相の阿部宏之所長は「健全な養育ができる家庭を作るよう目指していたが、結果は非常に残念。十分に検証していきたい」と話した。
一方、県警は11日、千宙容疑者を同容疑などで送検した。捜査関係者によると、千宙容疑者は「ストレスで頭にきた。床に投げてしまった」などと供述しているという。
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