遺族の思いです。30年ほど前の交通事故で当時1歳の息子を亡くした女性が10日、長野市で講演し、事故後の心境や経験を振り返りながら、被害者支援の充実を訴えました。

犯罪被害者遺族自助グループ「つむぐ」・大塚清美 世話人代表:
「幸せの絶頂でした。それが一瞬にして奈落の底へ突き落とされたような感覚。早く息子のそばに行きたい、どうしたら楽に天国に行けるのか、そんなことも考えた」

長野市で警察関係者などを前に講演した東御市の大塚清美さん(63)。

30年ほど前、事故で幼い息子を失いました。

当時1歳4カ月だった長男の広登ちゃん。祖母におんぶされて道路を散歩していたところ、後方から来た軽トラックにはねられ、脳挫傷で亡くなりました。

運転していたのは当時56歳の男。飲酒運転でした。

大塚さんはその場にいませんでしたが、子どもを守ることができず、自分自身を追い詰めていたと言います。

犯罪被害者遺族自助グループ「つむぐ」・大塚清美 世話人代表:
「公園などに行くと子ども連れの幸せそうな家族が目につく。買い物など最小限で何年もの間すごしました」


前を向くきっかけとなったのが、同じような境遇の人との出会い。事故から約7年後、「長野犯罪被害者支援センター」を通じて、事件・事故の被害者遺族と繋がり、支え合ってきました。

2023年4月には県内初となる遺族らの自助グループ「つむぐ」を設立。大塚さんは世話人代表も務めています。

犯罪被害者遺族自助グループ「つむぐ」・大塚清美 世話人代表:
「遺族同士のつながりは前を向いて歩みを進める原動力になると思っています」

講演では、遺族への支援の必要性も訴えました。

県内では、55市町村で犯罪被害者支援の条例を制定していますが、大塚さんは「県全体で支援の態勢を整えてほしい」としています。

犯罪被害者遺族自助グループ「つむぐ」・大塚清美 世話人代表:
「こうした体験を聞く機会があったり、条例の制定を通じてどのような状況におかれているか、どんな支援が求められるとか、そういったところが広く周知されるといいかな」

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