[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1338)

 血糖値と食事・運動とは切っても切れない関係にあります。境界型糖尿病の方を、糖尿病の薬を服用したチームと食事・運動をしっかり行ったチームに分けて糖尿病になった方を比べると、食事・運動チームの方が少ないことが分かりました。

 つまり、血糖値を良くするには、薬の服用以上に食事・運動の実行が重要だといえます。

 新型コロナ全盛期は、糖尿病を持つ方々も感染予防のために買い物の頻度を減らしたり、息抜きの散歩を自粛したりと、自宅にこもる生活が続きました。

 2023年5月に新型コロナが2類から5類となり、やっと世の中全体が動き始め、元の生活へと戻りつつあります。

 「さあ、外に出てみよう」。そう思い立って腰を上げてみると、「あれ、膝や腰が痛い」「足に力が入らない」など、以前にはなかった体の変化に驚いた方も多かったのでは。

 外出を控えていたため、保存の利かない野菜の摂取が減った上、かむ力が弱まっている方々はお米やパン、麺類など軟らかい炭水化物の摂取が多く、筋肉の材料となるたんぱく質が少ない食事になる傾向がみられます。

 体を動かさない生活が長くなり、筋肉の減りや関節のさびつきが起こり、膝や腰の痛み、脱力感を感じています。「食事・運動の変化」こそ、糖尿病を持つ方々が感じている「体の変化」の原因です。

 さあ、自粛生活は終わりました。これで全てが元通り…でしょうか? 少々準備が必要となります。

 不足気味の野菜とたんぱく質を十分に取り、炭水化物を少なめにすることで血糖値を上がりにくくし、筋肉をつくるための準備を行います。

 同時に、硬くなった関節をゆっくりほぐすためストレッチを行いましょう。体の痛みが和らいできたら、いすの背につかまりながらスロースクワットやかかと上げ運動を開始し、筋肉を増やしていきましょう。

 体の準備が整いましたら外に出て、徐々に元の生活を取り戻しましょう。

<高橋隆・大浜第一病院糖尿病センター(那覇市)>=第1、2、4水曜日掲載

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