2025年大阪・関西万博の海外パビリオンの建設促進に一役買おうと、地元・大阪府内の木材業者らでつくる府木材連合会(大阪市住之江区)が、住宅向けの木材や工法を用いた新たなパビリオンの形を提案している。名付けて「タイプウッド」。連合会が設計から建設までワンパッケージにして、参加国をサポートする。開幕まで280日を切る中、いまだ建設業者が決まらない国の「救世主」となるか、注目される。
8カ国で建設業者決まらず
参加国が自前で建設する「タイプA」のパビリオンは当初、約60カ国が希望していたが、建設資材や人件費の高騰で建設業者との契約が難航。万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)によると、4日現在で35カ国が着工したが、まだ8カ国で建設業者が決まっていない。
連合会が提案するタイプウッドには、スギやヒノキなど比較的安価で調達しやすい住宅向けの木材を使用。注文住宅で使われ、工期の短い「ツーバイフォー」工法を採用し、連合会傘下の建築業者が施工する。ツーバイフォーは建物を面で支える構造のため耐震性に優れる一方、重量は鉄骨の5分の1程度。リサイクルしやすく、万博が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の理念にも合致するという。
府建築士会ともタッグ
連合会は府建築士会ともタッグを組み、パビリオンのデザイン設計や建設に必要な行政手続きに協力してもらう。タイプウッドはベースのデザインはシンプルでも、参加国の要望に応じてアレンジが可能。会場には、完成すれば世界最大級の木造建築物となる大屋根「リング」のほか、樹木や池を配した「静けさの森」が整備予定で、タイプウッドのナチュラルな雰囲気はそうした周囲の景観にもとけ込みそうだ。
連合会の津田潮会長によると、万博協会にタイプウッドを提案するとともに、参加国にも個別に採用を働き掛けており、関心を示している国もあるという。津田会長は「地元での万博に貢献する使命感を持っている。今ならまだギリギリ間に合うので、ぜひ検討してほしい」と話している。【新宮達】
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