7月に入り、最高気温が35度以上の猛暑日が相次いでいる。夏の暑さが厳しくなる中で、強烈な日差しから身を守ってくれるのが日傘だ。東京都心では日傘を差す男性を見かけることも増え、売り場を拡大する小売店もある。メンズ日傘がようやく「市民権」を得たといえるが、猛烈な暑さが男性の「抵抗感」を拭い去っているようだ。
人気は「晴雨兼用」「白」
猛暑日を連続で記録した5日、多くの人が行き交うJR東京駅前の交差点では、日傘を差す男性の姿がちらほら見られた。
「あると全然違いますよ。体感温度が1~2度低く感じる。周りの目よりも実用性が優先。会社の同僚にも勧めているくらいです」
折りたたみ式の黒の日傘を差していた東京都文京区に住む会社員の男性(27)に声をかけると、自他ともに認める「日傘男子」だった。3年前に雨の日にも使える「晴雨兼用」として購入し、かばんの中に入れていつも持ち歩いているという。
「メンズ日傘」は実際に広がっているのだろうか。
「夏があまりに暑くなり、男性の間でも猛暑や紫外線への対策で日傘を差す人が増えています」
スーパー「イオン」などを運営するイオンリテール(千葉市)の担当者は、急速に広がっていると説明する。2019年から男性用日傘の売り場を設けているが、今年3~6月の売り上げは前年同期比で1・5倍に増加。19年の同じ時期と比較すると5年で6倍になっているという。
イオンでの購入が最も多いのは「40~50代」。通勤で使用する機会が多い都市部を中心に、持ち運びやすく急な雨にも対応できる「晴雨兼用」の折りたたみ傘が売れ筋になっている。色は、シックな色の多い紳士用雨傘とは対照的に、「涼しげな印象を受ける」として白色が人気だという。
今年は4月の全国の平均気温が過去最高となったことや、売り場や商品数を拡充したこともあり、昨年を上回る売れ行きで「暑さは今後も続き、まだ伸びしろが大きい」(担当者)。
「支持」9割、「使用」は1割
男性の間では日傘を差すことへの抵抗感はなくなってきているようだ。男性向け医療脱毛専門院「メンズリゼ」が10~40代の男性600人を対象に4月にインターネット上でアンケート調査したところ、男性の日傘使用に92・2%が「肯定的」と回答。22年の調査(79・7%)に比べ、支持は広がっている。
ただ、「すでに使用している」は13・5%で、23年の調査(8・0%)からは増えたものの、実際に使っているのはまだ少数派だった。「今年の夏から使用したい」(7・5%)と「前向きに検討中」(56・0%)を合わせると約6割が使用に前向きな意向を示した。
23年は「観測史上最も暑い年」となったが、今年も猛暑になると予想されている。「最も暑い夏」が再び到来すれば、日傘を肯定的に捉えている男性の背中を押すことになりそうだ。【岡田英】
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