覚醒剤取締法違反事件の証人として公判に出廷した西日本の企業の職員2人の個人情報が被告に漏えいし、職員の元に被告から脅迫めいた手紙が届いていたことが関係者への取材で判明した。企業側は検察側との事前打ち合わせで、職員の個人情報が被告に伝わらないよう対処を求めていた。検察側は、企業側に対して口頭で謝罪したという。
被告は2022年、企業の関連施設で覚醒剤を所持したとして、覚醒剤取締法違反で起訴された。
関係者によると、職員らはこうした疑いがある状況を目撃していたとされる。検察側は職員2人に被告の公判に証人として出廷するよう要請。職員らはそれぞれ検察側と打ち合わせをして、氏名や住所といった個人情報を被告に伏せるよう求めた上で、公判に協力することに同意した。
しかし、公判で職員2人が証言した後、被告から証言内容によって自らが不利になったと責め立てるような手紙が届いた。被告は手紙の中で、自身が暴力団関係者だったことをほのめかしていたという。職員の個人情報が記載されている裁判記録の内容が、被告に伝わったとみられる。
刑事訴訟法は証人の尋問を請求するに当たり、被告側に証人の氏名や住所を知らせる機会を与えなければならないと規定している。
一方で、16年の法改正により、証人やその親族が危害を加えられたり、脅されたりするような恐れがあると認められる場合は、検察側が被告に氏名や住所を知らせないように秘匿措置を講じることもできるようになった。
検察側は取材に対し、今回のケースで具体的にどのような対応をしたか明らかにしなかった。企業側は検察側に再発防止を求めたという。
最高検監察指導部は「個別の事案に関する調査及び関係者の処分の有無についてはお答えを差し控える」とコメントした。【洪玟香、安元久美子】
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