原爆資料館に展示されている、伸一ちゃんが原爆投下時に乗っていた三輪車=広島市中区で2018年8月1日、山田尚弘撮影

 原爆資料館に展示されている焼け焦げた三輪車を再現したアート作品がスイス・ジュネーブの国際赤十字・赤新月博物館に寄贈され、9月から常設展示される。「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の国際運営委員、川崎哲さんらが3日、広島市役所で記者会見し明らかにした。

 三輪車は、鉄谷伸一ちゃん(当時3歳)の遺品で「伸ちゃんの三輪車」として知られる。父信男さんが寄贈した。原爆投下時、伸一ちゃんは自宅前で三輪車で遊んでいて熱線に焼かれ、その夜に亡くなった。展示に衝撃を受けたICANの前事務局長、ベアトリス・フィン氏の呼びかけで、アーティストの藤元明さんとキャノン・ハーシーさんらが1年かけて完成させた。

鉄谷伸一ちゃんの三輪車をアート作品化するために3Dスキャンする様子=Future Memory Project提供

 作品は実物大のブロンズ彫刻作品。9月19日から国際赤十字・赤新月博物館の入り口に設置される予定。川崎さんは「軍縮交渉や人道支援の中心地であるジュネーブからも、広島の伸ちゃんのように戦争で犠牲になる子供が出てはいけないというメッセージを発信し続けられる」と期待する。【武市智菜実】

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