九州豪雨から4年。犠牲者の冥福を祈り献花する村職員ら=熊本県球磨村の球磨村役場で2024年7月4日午前8時37分、矢頭智剛撮影
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 熊本を中心に九州5県で災害関連死を含め死者・行方不明者81人を出した2020年7月の九州豪雨は4日、発生から4年となった。被災地では朝から遺族や住民らが花を手向けたり、黙とうをささげたりして犠牲者をしのんだ。

 熊本県南部を流れる球磨(くま)川などが氾濫し、特別養護老人ホーム「千寿園」の入所者14人を含む25人が亡くなった球磨村の村役場では献花台が設置され、午前8時半には村全域にサイレンが鳴り響いた。

 献花に訪れた、豪雨で母親を亡くしたという女性(57)は「母を助けられなかったことを思うと、今もきつい。4年たったからどうかについて、今も何も考えられない」と言葉少なに話した。松谷浩一村長は「復旧・復興には時間がかかると改めて感じた4年間だった。改めて多くの犠牲を無駄にしない村づくりを進めていきたい」と語った。

 熊本県によると、仮設住宅の入居者数は6月末現在で217世帯412人で、ピーク時の1割弱まで減少。宅地かさ上げ工事や災害公営住宅の完成などを待って退去する見通しだ。千寿園は、被災後に同県人吉市のプレハブ施設で事業を続けていたが、今年1月、村内の高台に再建された。

 線路や橋梁(きょうりょう)などに大きな被害が出て一部区間で不通が続くJR肥薩線は、国、熊本県、JR九州の協議の結果、4月に鉄道での復旧が決まり、33年度以降の八代(同県八代市)―人吉(人吉市)間の運行再開を目指す。【西貴晴、野呂賢治】

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