知床観光船沈没事故で集団提訴のため札幌地裁に向かう乗客家族らの弁護団=札幌市中央区で2024年7月3日午前10時1分、貝塚太一撮影

 北海道・知床半島沖で乗員乗客全26人が死亡・行方不明となった観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」の沈没事故で、乗客14人の家族ら29人は3日、運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長(61)に約15億円の損害賠償を求める集団訴訟を札幌地裁に起こした。事故を巡り、乗客家族が会社側を提訴するのは初めてとみられる。

 原告弁護団の山田広団長は訴状提出後、「これだけの事故で誰も責任を取っていない。法的な責任をはっきりさせ、ご家族が被った全損害を賠償させる」と話した。

 事故は2022年4月23日に発生。乗員乗客26人のうち20人が死亡、乗客6人が行方不明となった。一部の家族は、今回の訴訟で原告となるため、行方不明者を法的に亡くなったものとして扱う「認定死亡」の手続きをした。

 事故を受け、甲板員の曽山聖さん(当時27歳)の両親が昨年、会社側に計約1億1900万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴。両親は国と日本小型船舶検査機構(JCI)にも賠償を求め提訴している。

 桂田社長らの責任を巡っては、第1管区海上保安本部などが業務上過失致死の疑いで捜査している。【伊藤遥、後藤佳怜】

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