慰霊式で献花する(手前右から)遺族の周長明さん、張恩龍さん=秋田県大館市で2024年6月30日、田村彦志撮影

 戦時中の1945年、秋田県大館市の花岡鉱山に強制連行された中国人労働者が一斉蜂起し、400人以上が死亡した花岡事件から79年を迎えた6月30日、現場となった大館市花岡町の十瀬野公園墓地で慰霊式があった。遺族2人を含む日中両国関係者ら約200人が参列し、恒久平和の誓いを胸に犠牲者の冥福を祈った。

 式で、福原淳嗣市長が事件で亡くなった429人分の名簿を奉納。「平和を祈願し、事件を風化させず、後世に語り継いでいくことが私たちの重要な使命」と決意を述べた。

紙幣に見立てた紙を燃やし、花岡事件の犠牲者を悼む遺族の周長明さん(右)と張恩龍さん=秋田県大館市で2024年6月30日、田村彦志撮影

 祖父が犠牲となったという山東省の周長明(しゅう・ちょうめい)さん(69)は「歴史を心に刻み、恒久平和のための努力を怠らず、来年も供養に来たい。安らかに」と、追悼の言葉を贈った。

花岡事件の犠牲者を悼み、献花する参列者たち=秋田県大館市で2024年6月30日、田村彦志撮影

 追悼の歌が流れる中、参列者ら一人一人が献花。周さんと北京市の遺族、張恩龍(ちょう・おんりゅう)さん(48)は、中国の風習に習い、紙幣を模した紙を燃やして犠牲者の霊を慰めた。

 慰霊式は、新型コロナウイルス禍の2020~22年、規模を縮小しながらも休まず営まれてきた。張さんは取材に「平和を愛する心に感動する」と、大館市民に感謝した。【田村彦志】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。