6月26日に開かれた東京電力の株主総会で、焦点となったのは新潟県の柏崎刈羽原子力発電所の再稼働について。注目が集まる現地・柏崎刈羽原発に福島テレビのカメラが入った。
<原発利用を推進する考え>
柏崎刈羽原発の再稼働について、安全確保が最優先と強調した東京電力の小早川社長。株主からは、再稼働に向けた要望だけでなく反対意見も上がった。一方で、脱原発を含む株主提案は、6月26日に株主総会を開いた電力大手9社すべてが否決。あらためて原発の利用を推進する考えが示された。
<事故後はじめて燃料が原子炉へ>
4月に原子炉に燃料を入れ終えたばかりの東京電力・柏崎刈羽原発の7号機。原子炉には872体の燃料が入る。2011年の原発事故のあと、東京電力はすべての原発の運転を停止していて、原子炉に燃料が入ったのはこれが初めてだ。
<教訓を踏まえた対策>
事故のあと、国は原子力施設の設置や運転により厳しい基準を策定。柏崎刈羽原発でも教訓を踏まえた対応がとられている。
福島第一原発の事故では、原子炉建屋内で大量に発生した水素を外に逃がすための「ベント」という作業を作業員が手動で行った。過酷な状況に作業員を向かわせた反省から、格納容器のすぐ近くにある「ベント」のハンドルを遠隔で操作できる場所を設けたほか、大量に発生した水素を水に変える装置も原子炉内に設置した。
<再稼働には地元の同意がカギ>
事故対策を行う一方、再稼働については地元の同意がカギとなっていて、避難体制の懸念などから具体的な見通しは立っていない。
地元からは「もう少し地元の人の意見を吸い上げて。全部が全部反対じゃないと思うが、心配なのは避難経路。どのように避難すればいいのか全く分からない」「難しい…動かさなければ柏崎の経済は衰退じゃないけど。何とも言えない」という声が聞かれた。
<同じことを繰り返さない>
この日も、万一の事故に備えた放水訓練が行われていた柏崎刈羽原発。
福島の事故を受けて、構内に2万トンの水をためる池を整備し、電源がなくても原子炉に注水できる車両やポンプなどを整えたが、一方でテロ対策の不備などから原子力規制委員会が一時、事実上の運転禁止命令を出すなど新たな問題への対応にも追われた。
柏崎刈羽原子力発電所の大東正樹副所長は「あのような事故を起こしたことは痛恨の極み。そこから得られた教訓については、私ども力を込めて色々対策をとってきた。早く発電所としての正常な姿に復帰できるよう頑張ってきたが、同じような事象を再発させないということが一番重要。そこに力を入れて取り組んでいきたい」と話した。
柏崎刈羽原発が停止してから13年あまり。長い停止期間を経て、教訓を確実に活かす体制を整えられるかどうかも焦点だ。
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