神山まるごと高専では、体験を通じて起業家精神が学べます。

徳島・神山町にある全寮制の高等専門学校、神山まるごと高専。
「起業家精神を学べる」ということのほかにもう1つ、大きな特徴となるのが学費の「実質無償化」です。

神山まるごと高専の運営には、多くの企業が関わっています。

学生1人当たりの学費は年間約200万円。
「家庭の経済状況に左右されず学んでほしい」という思いから、ソニーグループやソフトバンクなどの企業が出資や寄付を実施し、その基金を運用会社に委託することで安定的な奨学金の給付を可能にした、日本初の仕組みです。

この日行われていたのは、スカラシップパートナー企業の1つ、富士通と学生たちとのミーティングです。

企業が扱う事業をもとに、ビジネスモデルを考えて発表しました。

企業は奨学金のサポートをするだけではなく、インターンやビジネス講座などを実施し、学生たちに“社会をそのまま体験してもらう”ことを目指します。

富士通 CEO室 DX Division・浜上隆道シニアマネージャー(浜は旧字体)は「その場その場で自ら自主的に動いたり、考えたり、挑戦し続ける人になってほしい」と話しました。

さらに、水曜日の放課後に行われているのは、起業家やクリエイターなどが講師を務める「Wednesday Night」。

音楽家・原口沙輔さん:
実際に家で足踏みした音です。(足音を入れて音をミックス)こういうふうにしても楽しいわけじゃないですか。固定観念を壊すということを常日頃考えながら、全て素材だというふうに考えている。

講義後は一緒に食事をするなど、交流を深めます。

そうすることで、起業家の思考や習慣を学び、起業することを憧れではなく身近に感じてほしいと言います。

学生たち自ら社会との向き合いを通して、世界に挑戦したことも。

2023年、学生たちが立ち上げたロボット製作などを行う部活「Hanabi」は、15歳から18歳の学生を対象としている国際ロボットコンテスト「FIRST Robotics Competition」のハワイでの地区大会に出場しました。

神山まるごと高専2年・江田岬毅さんは「企業にメールを送ってプレゼンする機会をもらって、プレゼンしてスポンサーになってもらう活動をした」と話しました。

ハワイへの遠征費用・ロボット制作費のため、学生自身でスポンサー企業を探し、集めたお金は18社・760万円。

ロボットのクオリティーだけではなく、大会期間外の活動も評価の対象となるこの大会は、部活設立から約10カ月でプログラミング体験などのワークショップを神山町内で25回開催。

地域への貢献も評価され、本戦出場は逃したものの「Rookie Inspiration Award」を受賞しました。

神山まるごと高専2年・中渓一心さん:
ものづくりがすごく好きなので、こんなぴったりな学校はないなと思い、この学校を選んだ。(入学当時は)「勉強しにくる」という気持ちで入ったが、「自分から学びを見つけてくる」というところから得られるものがすごく多かった。

神山まるごと高専・松坂孝紀事務局長:
本当に人間の未来を変えるくらい「こんな社会をつくりたい」ということに対して、「自分はできるんじゃないか」と思って、そして卒業していってほしい。

「指導」や「支援」ではなく、チャレンジや意思を「応援」する存在でありたいという神山まるごと高専。

社会も学べる新たな仕組みで、学生たちの可能性を広げます。

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