公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影

 家庭用LPガス容器に取り付けるバルブの価格を巡りカルテルを結んだとして、公正取引委員会は27日、バルブメーカー5社の独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、計7億964万円の課徴金納付を命じた。バルブ価格を2年間で7割近く不当に引き上げたとしている。

 納付を命じられたのは、ハマイ(東京都品川区)▽宮入バルブ製作所(同中央区)▽富士工器(名古屋市)▽宮入商事と関連会社の東京宮入商事(いずれも大阪府池田市)――の5社。

 公取委によると、LPガス容器のバルブは5社が市場を独占しており、2021~22年、2回にわたって価格や値上げ幅を調整。カルテル前に平均650円程度だった価格は1100円程度にまで引き上げられていたという。各社は原材料である真ちゅうの価格高騰と説明する一方、真ちゅうの値上がり分を上回る幅で引き上げたとみられる。

 公取委の小室尚彦・第2審査長は「原材料価格の上昇を考慮しても、競争を回避して一般消費者に被害を与える不当な値上げは許されない」と指摘した。

 関係者によると、今回は自主的に違反を申告する企業が不在の状態で公取委が調査に着手した。申告に基づく課徴金減免制度(リーニエンシー)が導入されてからは珍しいケースで、各業界に対する警告になるとみられる。【渡辺暢】

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