近畿地方では16日夜、激しい雷雨をともなう荒れた天気となりました。

兵庫県ではゴルフボール程の大きさの「ひょう」も降り、駐輪場の屋根に穴があく被害が出ました。


■各地で激しい雷や「ひょう」

16日夜、関西空港を映したカメラには激しい雷が。

上空を飛ぶ飛行機の背後にも雷が映っています。

近畿地方では16日夜、積乱雲が発生し広い範囲で激しい雷雨に見舞われ、甲子園球場では阪神対巨人の試合が中断に。その後、試合を続けることができなくなり、引き分けでコールドゲームとなりました。


兵庫県の加古川市では、氷の塊である「ひょう」が観測されました。

「ひょう」は隣の姫路市などでも観測され、中には6センチ程の大きさのものも。

【男性】「うわ!車が!」

庭にある木の葉を落とす勢いで降る「ひょう」。駐車している車にも激しい音をたてて当たっています。

【男性】「やば!こんなん当たったら車だめやんな。ごっついことなってるし」「これ割れとんちゃう?窓ガラスかなにか」「絶対割れてる」

兵庫県では、「ひょう」が頭や目に当たり、明石市の男性(63)と加古川市の女性(52)が軽傷を負いました。


そして一夜明けた17日…

【記者リポート】「こちらの店ではひょうの影響で、駐輪所の屋根が割れてしまっています。現在、撤去作業にあたっています」

「ひょう」の影響で、姫路市の量販店で駐輪場の屋根が割れ、同様の被害は他にも確認されています。


当時、客がいたゴルフセンターでは…。

【八家ゴルフセンター 田中康憲代表】「8時ごろに降り始めて、その後、固い物が当たる音が激しく鳴り響いた。バンバンバンという音が」

「ひょう」が雨どいにたまり、水があふれて中に入ってくるなか、多くの客が店内に避難したといいます。

【八家ゴルフセンター 田中康憲代表】「客は打つにも打てない状況。このネットの上部にも、網目以上の大きさの氷の粒。ゴルフボールくらいの大きさ。それ以上のものもあった」

他にも屋根が損傷したり、車のボンネットが凹んだりする被害をもたらした「ひょう」。


ゴルフ場には一夜明けても溶けずに残っていました。

【八家ゴルフセンター・田中康憲代表】「雨が降るとか、竜巻情報もありましたけど、あんな大きなひょうが降るとは全く想像していなかった。小さな粒は見たことあるが、恐怖を感じるぐらいの大きさは初めて」

急に降りだし各地に被害をもたらした「ひょう」。


■初夏は「ひょう」が発生しやすい

どうしてこの時期に降ったのか、気象予報士・片平さんに解説してもらいます。

実は、5月ごろが「ひょう」の発生しやすい季節ということですが、そもそも「ひょう」はなぜ発生するのでしょうか?

【片平敦気象予報士】「発達した雷雲、積乱雲から降ってきます。この雲がなければひょうは降りません。積乱雲がどういう時にできやすいかというと、天気予報などでよく聞く、“大気の状態が不安定”そういう時です。“大気の状態が不安定”というのが、どういう状況かというと、空高い所にその時期としては、あまりないような冷たい空気がやってくる状況です。16日もそうだったのですが、昼間が暑くて、地面の近くは割と気温が高くなっていて、夏のような状況、空には冬の名残のような寒気がやってきて、この状態を“大気の状態が不安定”といって、雷雲ができやすくなります。この積乱雲から降ってくるというわけです」
「積乱雲は雷雲なので、夏場に夕立が結構ありますよね。夏もひょうが降るのかというと、実はそうではなく、5月が一番多いと言われています。ひょうが多いのは5月で、6月、7月、8月は積乱雲はできますが、気温が高く氷の粒が溶けてしまいます。ここまで気温が高くなると、ひょうとして降ってくのではなくて大粒の雨が降ってくる。3月より前になると、まだ積乱雲ができるような時期ではないということで、ある意味バランスが取れている時期の4月、5月、そして6月ぐらいにかけてはひょうに注意が必要です」

今回、ゴルフボールほどの「ひょう」が降ったということですが、どれくらいの高さから降ってきたのでしょうか?

【片平敦気象予報士】「積乱雲の1番底の部分の高さは(地上から)2キロぐらいです。一番上の高さは15キロとか、富士山何個分ぐらいの高い所で、上昇気流が起きて、氷の粒は重たいので1回降ってきます。降ってくるけど、上昇気流で上にまた持ち上がって、さらに膨れる。それを何度も繰り返して、発達した積乱雲は上昇気流がとても強いので、大きなものでも支えられる。過去の記録では、大正時代に埼玉県でかぼちゃの大きさぐらいのものという事例もあるので、それが体に当たると、本当に場合によっては命を失う可能性があります」

そんな恐ろしい「ひょう」の注意するポイントを教えてもらいます。

【片平敦気象予報士】「ポイントは積乱雲の近づく兆候を見逃さないということです。昼間の明るいうちに目で確認ができるのであれば、『真っ黒い積乱雲』そのものが近づいてくる、これを確認する。遠くの方で雷がゴロゴロと聞こえる。音が聞こえると遠くのような気もしますが、実は雷雲の動くスピードは早いので、もうすぐにやってくるかもしれない。遠くで雷雲と一緒に雨が降っていたりして、冷たい空気がピューっと吹くことがあります。このようなサインが出てきたら、ひょうが降る前兆ということもあります」
「こういう時にはどうすればいいかといいますと、まずは屋内に逃げるのが一番です。ひょうを止めることはできないので、正直対策はあまりないのですが、例えば車を地下の駐車場や屋根がある場所に避難させるなど、そういったことをしておく。なかなか対策は難しいところではありますが、前兆や兆候に気づいたら対策をとってほしいです」

初夏の陽気が続いていますが、寒気が入ってきて、大気の状態が不安定になると、こういうことも起こり得るので、十分に気をつけていただきたいと思います。

(関西テレビ「newsランナー」2024年4月17日放送)

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