岩手県一関市の公共工事を巡る談合事件は現職の職員が逮捕されてから6月26日で1週間です。
これまでの取材で業者による落札率が極めて高かった事実が判明し、警察が業者間で談合があった可能性も含め捜査していることが新たにわかりました。

一関市 佐藤善仁市長
「一関という言葉が地に落ちたような印象」

一関市で相次ぐ汚職事件について佐藤善仁市長は25日、厳しい言葉を口にしました。

一関市では6月19日に公共工事の入札情報を業者に漏らした疑いで都市整備課課長補佐の金今進容疑者(60)が逮捕されました。

またその情報をもとに不正に落札した疑いで地元の業者であるフジテック岩手の元役員2人、そして永沢水道工業の元役員1人も逮捕されています。

さらに一関市ではこの事件とは別に元幹部職員の那須野長己被告(59)も19日に加重収賄などの罪で起訴されています。

一関市 佐藤善仁市長
「一関市役所は非常事態にある。改革をしていかなければならない」

現職職員の逮捕から1週間、取材から浮かび上がってきたのは工事の落札率の高さです。

一関市では公共工事の入札の際に契約金額の上限となる予定価格と下限となる最低制限価格を非公開で設定しています。

この範囲の中で最も低い金額で入札した業者が工事を落札でき、予定価格に近いほど利幅が多いことになります。

フジテック岩手が過去5年間で落札した一関市の公共工事33件の入札調書には、事件の対象となった2件の工事も含まれています。

予定価格に対する落札価格の割合を示す落札率は平均で94.57%、最も高いものでは99.95%に達しました。

件数をみると90%以上の工事は33件のうち30件、99%以上は半数以上の18件に上っています。

一方、永沢水道工業では事件の対象となった4件を含め過去5年間で14件の工事を落札、このうち5件で落札率が99%以上に達していました。

入札制度に詳しい県立大学の役重眞喜子准教授はこの数値を次のように分析します。

岩手県立大学 役重眞喜子准教授
「一般的に見ると99%が続くのは非常に高いという印象。中には結構競っている入札もあった。最低制限価格に近い形で落札しているものもあったので、談合が常態化していたかどうかはわからない」

また役重准教授は再発防止策の一つとして今後の市の体制づくりが重要と話します。

岩手県立大学 役重眞喜子准教授
「複層的・重層的なチェック体制を職場でつくっていく。内部だけではなく第三者機関のようなチェック体制をつくっていく。こういうことが求められていると思う」

一方、警察は市の公共工事の入札について落札率が高いものが多く、業者間での競争の傾向も低かったとみられることから、落札の順番を業者間で決める談合もあった可能性を含め調べていることが捜査関係者への取材で新たにわかりました。

事件の全容解明に向け警察の捜査が続いています。

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