建設が進む大阪・関西万博の会場=大阪市此花区で2024年3月11日、久田宏撮影

 2025年大阪・関西万博の海外パビリオンの建設が遅れている問題で、日本国際博覧会協会は日本側に生じる追加の費用負担を最大77億円と見積もっていることが判明した。24日、協会関係者が明らかにした。参加国が自前で建設する「タイプA」から協会が建設を代行する簡易型「タイプX」への移行が進んでいないことが理由。追加費用は余ったXの別用途への改造や、万博からの撤退で生じた空き地の活用に使われる。

 関係者によると、追加費用は最大2350億円の会場建設費の枠内で捻出する方針。ただ、これらの費用はタイプAの建設が当初の予定通り進んでいれば、日本側が負担する必要のなかった出費だ。また、災害など不測の事態に備えて会場建設費の枠内で130億円確保している予備費を一部取り崩す可能性もあるといい、協会の見通しの甘さが問われそうだ。

 タイプAは当初、約60カ国が希望していたが、資材や人件費の高騰で建設業者との契約が難航。これまでに3カ国が簡易型のタイプXに、5カ国が協会が用意する共同入居型のタイプCに移行した。19日現在、Aを希望するのは51カ国で、うち32カ国が着工済み。一方、11カ国はいまだに建設業者が決まっておらず、25年4月の開幕に間に合わせるには危機的な状況となっている。

 協会はこれらの国に対し、引き続きXかCへの移行を打診している。しかし、独自性の高い展示を目指す参加国にとってXは魅力が薄いとみられ、移行を決めた国は協会の想定を大幅に下回っている。Xの建設費はAと同様に参加国の負担となるが、Cは日本側が負担する仕組みのため、余ったXの建設費を回収できず、追加の費用負担につながった。【東久保逸夫、藤河匠】

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