豪雨や台風のシーズンを控え、福島県いわき市は、災害廃棄物の臨時集積所をあらかじめ地区ごとに住民に決めてもらい、市に届け出る取り組みを始める。過去の災害で無秩序に放置された災害ごみの処理に悩まされたのを教訓に、市が仮置き場を設置する前の段階での集積所を決めておくことで迅速な処理を目指す。災害救助法が適用される災害の場合、国の補助が受けられることに着目した全国初の試みだという。
24日、内田広之市長が記者会見で発表した。市内に大きな被害をもたらした2019年の台風19号では、市が仮置き場を設置するまで数日かかった。
23年9月の豪雨ではスピードアップに努めたが、現地調査や広報などで2日を要し、この間、家電製品や粗大ごみから一般の家庭ごみまでが公園などに次々と放置された。市によると、「勝手仮置き場」と呼ばれるこうした投棄場所が20カ所程度確認されたという。最終的に計8000トン以上の廃棄物が、個人の自宅前の道路など約300カ所に置かれ、全て処理するのに今年1月までかかった。
このため、まずは住民が主体となり、地区の広場など、臨時集積所として使えそうな場所をあらかじめ決めて、届け出てもらうことにした。実際に災害が発生したら、住民が主体となって可燃ごみや不燃ごみなどに分別しながら運営する。市は今後、説明会を開くなどして豪雨や台風に備えるとしている。
まず、市内全656行政区のうち、水害が想定されるエリアの371行政区で先行して、秋の台風シーズンまでの指定を目指す。内田市長は「災害廃棄物の問題解決の鍵は住民の力。協力をお願いしたい」と話した。【柿沼秀行】
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