記者会見する吉田茂穂宮司=鎌倉市の鶴岡八幡宮で2024年6月20日午後2時14分、蓬田正志撮影

 日本三大八幡宮(はちまんぐう)にも数えられる鶴岡(つるがおか)八幡宮(神奈川県鎌倉市)の吉田茂穂宮司は20日、境内で記者会見を開き、神社本庁から今月離脱した経緯を説明した。神社本庁の代表である統理の権威がないがしろにされているなどと本庁の運営方法について批判した上で、「正常化を目指すことは断念せざるを得ない」と述べた。

 神社本庁では2015年に不透明な不動産取引があったと、職員が内部告発。統理が役員人事を刷新しようと、事務方トップである総長に新たな人物を指名したが、役員会が拒否した。さらに前総長の続投を多数決で議決したため、内紛が起きている。22年8月には鶴岡八幡宮を含む有力神社の宮司が呼びかけ人となり、統理を支援し、組織運営の透明化を求める会を設立していた。

 吉田宮司は会見で、1946年に信仰の不当な圧迫がないよう神社本庁が設立された意義を語る一方、「役員、職員の意識に初心が忘れられ、組織活動は恣意(しい)的、独善的状況が見られる」と指摘。離脱は神社本庁への問題提起かとの問いに「そうでないと言えばうそになる」と述べた。

 また離脱の影響について「神社の運営に不都合や変化は生じていない」としたが、これに伴い職員4人が退職したことも明かした。

 全国約7万8000社を包括する神社本庁は、吉田宮司の指摘に対し「引き続き法令を順守した法人運営を行って参ります。鶴岡八幡宮には歴史ある神社としての役割を果たしていただきたい」とコメントした。【蓬田正志】

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