横浜市の旧大口病院で2016年9月、入院患者3人の点滴に消毒液を混入して中毒死させたとして、殺人などの罪に問われた元看護師、久保木愛弓被告(37)の控訴審判決で、東京高裁は19日、無期懲役とした裁判員裁判の1審・横浜地裁判決(21年11月)を支持し、検察側と弁護側双方の控訴を棄却した。
久保木被告は16年9月、点滴に界面活性剤を含む消毒液「ヂアミトール」を混入して70~80代の入院患者3人を殺害したほか、別の患者に投与予定だった点滴5袋にも殺害目的で消毒液を入れたとされる。
1審では、検察側が「被告は社会的弱者を守るべき立場にあった。酌量の余地はない」として死刑を求刑した。
これに対して地裁判決は「看護師としての知見と立場を利用した。刑事責任は誠に重大」としつつ、適性のない看護師の仕事を続けてストレスをため込んだ被告が、患者を消し去るとの発想に至った動機の過程を「酌むべき事情」と判断。被告は事件の重大性を痛感しており、更生の可能性があるとして無期懲役を言い渡していた。
控訴審で検察側は、3人が殺害されており、量刑は不当として改めて死刑を訴えていた。一方の弁護側は1審と同様に死刑回避を求めていた。【井口慎太郎】
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