政府は18日、犯罪対策閣僚会議を開き、著名人になりすました広告などによる詐欺への対策を決定した。国がSNS(ネット交流サービス)を運営するプラットフォーム事業者に対し、広告出稿者の本人確認の強化などを要請していく。
対策の名称は「国民を詐欺から守るための総合対策」。SNS上で投資話を持ちかける「SNS型投資詐欺」が2023年夏ごろから急増するなど詐欺被害が加速度的に拡大しており、警察庁と総務省が中心となって対策を検討していた。
被害の未然防止に向け、事業者には広告を出稿した者の本人確認の強化を求める。掲載される広告の審査体制の整備と基準の公表も要請。事業者は外資系企業が多いことから、日本語や日本の文化、法令を理解した人材を十分に配置するよう依頼する。
SNS型投資詐欺の多くが、第三者がやりとりを見られない「クローズドチャット」に誘導されて被害に遭っているため、そのような誘導をする広告は原則として採用しないことも要請する。
また、知らない人のアカウントを「友だち登録」した後の被害も多いため、詐欺被害への警告を表示する仕組みの導入も促す。
詐欺に使われたアカウントが捜査機関から事業者に提供された場合には、その情報を活用して広告を迅速に削除するよう求める。
警察庁によると、SNS型投資詐欺につながる広告が表示されていたのは、フェイスブックやインスタグラム、LINE(ライン)、X(ツイッター)など。これらのサービスを運営するプラットフォーム事業者が要請の対象となる。
今国会では、大手プラットフォーム事業者に対し、不適切な投稿への迅速な対応を義務付ける情報流通プラットフォーム対処法が成立している。今回の対策には、どのような情報が違法になるのかを示したガイドラインの迅速な策定も盛り込んだ。
この対策とは別に、総務省はインターネット上の偽情報対策を有識者会議で検討しており、夏ごろまでに意見を取りまとめる予定。
警察庁によると、SNS型投資詐欺の今年1~4月の被害は、前年同期比2133件増の2508件で、被害額は同約294億円増の約334億円に上った。【山崎征克】
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