東京の高層ビル群。手前は皇居=東京都千代田区で、本社ヘリから幾島健太郎撮影

 洋菓子店の倒産件数(年間ベース)が、2000年以降で最多ペースとなっている。帝国データバンクの調査によると、今年1~5月の倒産件数は18件で、年間で最も倒産が多かった19年の同時期の件数を上回った。地域密着で営業する「街の洋菓子店」が多いという。洋菓子作りに使う主要原材料価格の高騰が経営を圧迫したとみられる。同社は「年間でも最多件数を更新する可能性がある」と指摘している。

 小麦粉や砂糖、バターなど洋菓子に欠かせない材料の価格が総じて上昇している。なかでも、カカオ豆の不作と円安の影響を受けたチョコレートは19年と比べ、平均価格が約1・8倍になった。昨年の猛暑の影響で収穫減だったフルーツも同約1・4倍に上昇した。価格が落ち着いているのは鶏卵などわずかにとどまった。そのほか、電気代や人件費の高騰も重なっている。

 軒並み上がったコストを価格転嫁できているのか。イチゴのショートケーキ(1ピース)の平均価格は19年比約1・2倍と、原材料費のコスト上昇に比べ緩やかな値上げにとどまる。帝国データバンクは「客離れへの懸念から十分に価格転嫁できたケースは少なく、やむなく店を畳む決断をした店も多いのではないか」と分析している。

 1000万円以上の負債を抱えて倒産(法的整理)した洋菓子店を対象に調査した。【嶋田夕子】

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