2020年543件、2021年443件、2022年562件、2023年513件…これは県警が発表している県内の万引きの認知件数です。500件前後で高止まりしている状況です。こうした事態を受けて「万引きゼロ」を目指し、パトロールの強化などに乗り出した福井南警察署のケースを取材しました。
福井南警察署で16日行われた「万引き防止パトロール出発式」には、山本泰弘署長ら20人が臨みました。県警は県民の防犯意識を高めようと「ふくい防犯力向上オペレーション」に取り組んでいます。福井南署はその一環として、万引きの主な現場であるドラッグストアやコンビニへ制服警察官が積極的に立ち寄るなど、パトロールを強化する方針です。
初日の16日は、署員らが手分けして管内の店舗を巡回しました。このうちの一つ、大手ドラッグストアチェーンの店舗では、近年外国人とみられる人物による転売目的の万引きが多く、高価格帯のサプリメントや化粧品が狙われているといいます。
多い時には、ひと月で4回から5回の被害があり、一度に5万円ほどの被害に遭ったこともあるということです。店舗側は、商品棚に空箱を置いたり鍵をかけたりと、自衛策を取らざるを得ない状況です。
万引き被害に悩む店舗に制服警察官が立ち寄る「見える・見せる活動」は、万引きを食い止めるとともに、警察官と店員がコミュニケーションを取ることで防犯指導につなげる狙いもあります。
福井南署・高橋弘毅生活安全課長:
「万引きはゲートウェイ犯罪と言われていて、大きな犯罪の入り口となります。この犯罪の取り締まりを強化して、重大な犯罪に発展させないようにしたい」
NPO法人「全国万引き犯罪防止機構」によると、刑法犯は減る傾向にあるものの、万引きの減少率は低く社会問題になっていて、容疑者は高齢者や外国人が多くなっています。しかし、表に出てくるのは氷山の一角で、軽微な犯罪だったり、被疑者が高齢者や未成年者で店員が聴取の時間を割けないなどの理由で、未届けのものが多いということです。
2023年の県内の刑法犯の認知件数は2840件で、21年ぶりに前の年から増加しました。このうち、万引きの件数は513件と全体の2割を占めます。万引きは軽く見がちですが立派な犯罪です。見逃すと治安が悪化し重大な犯罪を生み出すきっかけになる可能性もあります。治安回復のためにも制服警察官による“見せる防犯活動”の成果が注目されます。
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