異例の暑さが頻発するなか、2024年4月から運用が始まったのが「熱中症特別警戒アラート」だ。これまで運用されていた「熱中症警戒アラート」が出たら、涼しい環境で過ごしたり、こまめな水分・塩分補給をしたり、原則運動中止などの対策が呼びかけられるが、新たな「特別警戒アラート」が出ると、それに加えて「クーリングシェルター」が開放されることをご存じだろうか?

<熱中症特別警戒アラート>
湿度・日射や照り返し・気温を総合した「暑さ指数」から発表するもので、これまで運用されてきた熱中症警戒アラートは「県内1カ所以上」で「暑さ指数33」。特別警戒アラートは「県内全地点」で「暑さ指数35」と、過去例のない危険な暑さが予測された時に発表される。

<福島県屈指の暑い街 伊達市では>
福島県伊達市では「熱中症特別警戒アラート」出された時に開放される「クーリングシェルター」を市内18カ所に設け、独自に開放する基準を1段階下げて運用する上に、暑いときはいつでも利用できるという。
28℃に設定された室内。利用者は「静かで勉強がしやすい環境。涼しいから最高ですね」と話す。
伊達市役所の原田茉莉奈さんは「涼み処、クーリングシェルターとして開放することで、誰でも使っていいんだなという認識を持ってもらえれば」と話し、暑さをしのぐために、ためらわずに立ち寄って欲しいと呼びかけている。
外出の際はこうした場所でこまめに休むことも大切だ。

<暑さから命を守る施設>
クーリングシェルターは、極端な高温や危険な暑さを避けるために、気候変動適応法という法律に基づいて設置され、設置は各自治体の努力義務となっている。各自治体は、熱中症特別警戒アラートが出された時に指定した施設を開放する。

<福島県の取り組み 涼み処>
一方、福島県で2024年6月に新たにスタートしたのが「ふくしま涼み処」で、クーリングシェルターとは違い、暑い日の休憩所として誰でも利用できるもの。5月30日時点で1246の施設が登録されている。
クーリングシェルターと涼み処の設置状況は市町村によって異なる。例えば、福島市にはクーリングシェルターはない。福島市によると「熱中症特別警戒アラートの発表に関係なく、暑い日には涼しいところで休憩できるよう、施設はふくしま涼み処に集約している」とのこと。

<涼み処はスーパーやコンビニも>
ふくしま涼み処は、マップ上で検索することができる。公共施設に限らず、スーパーや郵便局、コンビニなども涼み処となっていて、県北地区だけでも339カ所ある。
ふくしま涼み処の運用は、9月までを予定している。詳しくは「ふくしま涼み処マップ」で検索。

<熱中症特別警戒アラートの課題>
警戒アラートは、県内1カ所でも暑さ指数が33を超えれば発表されるが、特別警戒アラートは、全地点で35以上にならないと発表されない。
暑さ指数の観測点は福島県では29地点あり、2023年に「暑さ指数35」を超えたのは、伊達市梁川で12回。広野、いわき市山田、石川でそれぞれ1回。それ以外は一度もなかった。
福島テレビの斎藤恭紀気象予報士は「全地点で暑さ指数が35を超えたのは過去一度もなく、もしそうなればとてつもない熱災害になる。福島は地域によって、気候も標高も違うので、発表をエリアごとに分けるなど、弾力的に運用されるべきでは」としている。

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