7月に迫った東京都知事選で立候補者が乱立し、選挙ポスターを貼る枠が不足する可能性が出てきた。11日午後1時現在の立候補者は既に43人、今回の選挙で“乱立”する理由の1つとして専門家は“売名”を指摘した。

候補者は2012年以降右肩上がり

都知事選立候補者は2012年以降、右肩上がりで増えている。

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東京都選挙管理委員会事務局HPによると、2012年が9人、2014年が16人、2016年が21人、2020年が22人。

史上最多の立候補者となる今回は、11日午後1時現在で既に43人が出馬を表明。まだ出馬表明していない小池都知事の名前は入っておらず、最終的には50人を超える可能性も出てきている。

50人となると前回の倍以上の数だが、全員の選挙ポスターが貼れない事態になる。

都知事選の選挙ポスターを貼る掲示板は、48人の立候補者のポスターが貼れる。

掲示板の数字を見ると一見、「30」までしか貼れないように見えるが、よく見てみると各枠の上部に46・47・48と番号が書かれていて、ポスターが貼れるようになっている。

しかし、49人以上の立候補者が出た場合はどうするのか?

東京都の選挙管理委員会に、49人目以降の立候補者の対応について聞くと「現段階での対応は特に決まっていませんが、事前調査の候補者数の見込みを見ながら検討する」とし、過去には、「立候補者数が想定を超え掲示板を増やす対応をとった事例もある」と回答した。

史上最多の立候補者となると「政見放送」も時間かかりそうだが、都知事選の政見放送は1人5分30秒以内とされていて、例えば今回50人が立候補した場合、全て流すとなんと「4時間35分」もかかる。

供託金300万円…「出馬して名を知らしめたい候補者も」

では、なぜ今回、史上最多の立候補者数になることになったのか?

政治ジャーナリストの田﨑史郎氏は、「今回は蓮舫氏、小池氏の出馬で話題性が高い。注目される選挙には、多くの人が出馬するもの。出馬して名を知らしめたい候補者もいる。一つの政党から複数名の候補者が出馬することは選挙の趣旨からしておかしい。政党の名を知らしめたい思惑があるのだろう」と指摘する。

一方で候補者の乱立を防ぐために、立候補届出の際に候補者や政党が現金や国債を預ける「供託金」制度があり、都知事選に出馬する場合は300万円が必要だ。

得票数が法律で定められた数まで達しない場合は、供託金の全額、または一部が没収されるが、この額は30年以上変わっていない。

候補者がこれだけ乱立すると、300万円という額が供託金として妥当なのか?ということも議論になりそうだが、供託金300万円について田﨑氏は「300万円以上の宣伝効果になるとメリットを見いだしている候補者もいる。供託金300万円は安いと考える人と高いと考える人、両方の意見がある。今より安くした場合は、今回のように”名を知らしめたい”という思いの候補者が乱立する可能性もあるが、逆に今より高くすると若い世代が出馬しにくくなる恐れがある」と話す。

番組スペシャルキャスターの山口真由氏は、「供託金の問題もあるが、YouTube時代の選挙にもなってきている。つばさの党の事件がそうだが、かつては想定していなかった事件が起きていて、選挙に関する法律で対応しきれていないことが起きている。抜本的に、現状に合わない選挙制度を変えていくべきなのかなと思う」とした。

「政治に向き合いたい」と立候補を真面目に考えている人が、出馬しづらくなる環境になってしまう可能性が出てくる。その点について山口氏は、「1つの党から30人立候補させるといった話はやはり何かが違うと感じるが、法律で一律に切るのは難しいという部分がある」と指摘した。

小池都知事は12日に都知事選出馬を表明する方向で、その発言にも注目が集まる。都知事選は6月20日告示、7月7日投開票だ。
(「イット!」 6月11日放送より)

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