6年ぶりの本祭りに臨んだ深濱のメンバー©佐藤倫子
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 江戸三大祭りの一つとされる江東区の富岡八幡宮例大祭に魅せられた写真家、佐藤倫子(みちこ)さんの写真展「深濱」が11日、新宿区の「ニコンプラザ東京THE GALLERY」で始まる。佐藤さんは、みこしを担ぐ深濱睦保存会(深濱)に入会し、その活動に密着。新型コロナウイルスの影響で6年ぶりの開催となった2023年8月の本祭りを収めた作品は、再開の喜びと熱気にあふれている。

 19年に深川に移り住んだ佐藤さんは、ニコンの担当者から「地元の祭りを撮ってみては」と深濱を紹介された。深濱は漁師仲間が結成した伝統あるみこし保存会で、本祭りでは大漁旗とともにみこしが進むのが特徴。ただ、コンテストの審査などで全国各地の祭りの写真を飽きるほど見てきた佐藤さんは当初、撮影に乗り気ではなかったという。

 ところが、メンバーに会った途端に「皆さん、あまりにもキャラが濃く、粋でかっこいい」と心変わり。さっそく入会し、みこしの手入れなど普段の活動から撮影を開始した。メンバーにカメラを意識させないために、撮影中は会話も控えて気配を消すよう努めたが、「水分を取っている?」「一緒に昼食に行きな」と言葉をかけられ、次第に打ち解けていった。

6年ぶりの本祭りで深川の町を練り歩く深濱のみこし©佐藤倫子
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 本祭りは3年に1回。佐藤さんが目指していた20年はコロナ禍で中止に追い込まれた。ようやく再開した23年は、計53基の大みこしが8月12、13日に深川を練り歩き、沿道の観衆を沸かせた。深濱は最後に登場。2日間の本番に備えてシミュレーションを繰り返した佐藤さんは、勝負どころではアシスタントに肩車をしてもらい、みこしにカメラを向けた。「見るもの、感じるもの、すべてがエキサイティング。冷静に写真を撮ろうと必死だった」と振り返る。

 会場では本祭りを中心にした約40点のほか、正装した深濱の23人を一人ずつ撮った写真も展示する。入場無料で24日まで(16、17両日は休館)。22日には佐藤さんと深濱のメンバーによるトークショーもある。写真展は7月4~17日、大阪市の「ニコンプラザ大阪THE GALLERY」でも開催される。【中田卓二】

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