飼い主の指示でケージに入るポメラニアン。避難所では他の被災者に配慮することが求められるため、ケージに慣れさせておくことが必要だ=福岡県大牟田市で2023年12月27日午前10時37分、竹林静撮影

 いざ災害が起きた場合に困らないよう、普段からの防災対策が重要なのはペットも同じだ。にもかかわらず、犬や猫の飼い主の7割以上が対策を進めていない実態が、ペット向けの医療保険大手「アイペット損害保険」(東京)のアンケートで浮かび上がった。

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 アンケートは犬・猫を飼う男女1000人を対象に、1月の能登半島地震から約1カ月後となる2月6、7の両日、インターネット上で実施した。

 その結果、ペットに関する防災対策について「全くしていない」が35・9%。「あまりしていない」(38・4%)と合わせると、74・3%の飼い主が防災対策を進めていなかった。防災対策を「している」は19・8%、「かなりしている」は5・9%だった。

 飼い主とペットが安全な場所まで一緒に避難する「同行避難」についても尋ねた。環境省が2018年にまとめたガイドラインで推奨する避難方法だが、これを「知らない」と答えた飼い主は80・4%に達し、「知っている」(19・6%)を大きく上回った。最寄りの指定避難所でのペットの受け入れ態勢についても、83・6%が「知らない」とした。

 災害時には犬や猫とはぐれる可能性もある。22年6月施行の改正動物愛護管理法は飼い主を特定しやすくするため、所有者情報を登録する「マイクロチップ」の装着を義務付けたが、「装着している」としたのは31・1%。装着した目的についても「災害時への対策」と答えたのは6・8%にとどまった。

 同社は「災害は実際に起こるまで具体的な備えを想像しにくいが、今回の調査からも具体的な対策が取れていないという課題が浮き彫りとなった」と分析する。【竹林静】

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