悪質な客によるカスタマーハラスメント、いわゆる“カスハラ”。
脅迫や嫌がらせがエスカレートして、閉店に追い込まれる店まで出てきているという。その実態を取材した。
嫌がらせのためラーメンに大量のつまようじをまき散らす客や、店員につかみかかりラーメンを床にぶちまける客など、今、飲食店などのサービス業で横行しているのが、悪質な客によるカスタマーハラスメント、いわゆる“カスハラ”。
6日に取材班が向かったのは、東京・中野区のラーメン店。
実はこの店、もともとは茨城県にあった店で、カスハラ被害に遭い、閉店に追い込まれる事態に。やむなく移転を余儀なくされたという。
中華そば「いち」・瀧江伸一店主は「下手したら死人が出るとか、閉めるしかないって…」と語る。
当時の映像には、男性客に1杯350円のしょうゆラーメンが運ばれてくる様子が映っている。すると客は、トッピングを注文しようとしたという。
しかし、店では注文後の追加を禁止していたため、店員がそのことを告げると、あろうことか男性客が怒り始めた。
卓上にあったコショウやトウガラシを手に取ると、瓶の中身を全てラーメンに投入。さらに、つまようじも全部ラーメンにぶちまけた。
心を込めて作ったラーメンは無残な姿に。
結局、男性客はラーメンを一切口にすることなく店を去っていった。
その1年後、あの嫌がらせ客が、何食わぬ顔でまた来店した。
コショウと酢を手に取ると、1本分まるまるラーメンに投入。
店はすぐに警察に通報したが、悲劇はこれで終わらなかった。
毎日のように「死ねよ、店なんかつぶれてしまえ。火を付けてやる」など、数十件の脅迫電話が来るようになったという。
中華そば「いち」・瀧江店主は「もし営業中に凶器を持ってきて死人が出たとか、もう閉めるしかない」と話した。
カスハラ被害から2年、今、店主は新天地で一からの再スタートを目指している。
中華そば「いち」・瀧江店主は「落ち着きはかろうじて取り戻している。やっぱり事件のことは一生忘れることはできない」と語った。
客による悪質な“カスハラ”は沖縄県でも。
沖縄そばの店に入ってきた2人の男性客。
かなり酒に酔った状態だったという。
店員を呼び止めると、突然怒り出し、つかみかかった。さらに次の瞬間、今度は提供されたラーメンを店内にぶちまけた。
その理由は、あまりにも身勝手なものだった。
被害に遭った店の店長は「一味唐辛子をほしいと言われて、渡したときの態度が気にくわなかったと…」と語った。
カスハラについて5日に発表された調査結果では、サービス業に関わる人のうち、直近2年以内で被害に遭ったのは46.8%。
4年前の調査より10ポイントほど減ったが、約2人に1人が被害に遭っている。
カスハラをした人の推定年齢は、あくまで推定だが、50歳代以上の人が約8割を占めているという。
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