広島市は5日、被爆者の高齢化が進む中、体験を継承する取り組みとして、人工知能(AI)を活用した「被爆証言応答装置」を製作すると明らかにした。利用者の質問に対してAIが事前に撮影した証言映像を選んで再生する仕組みで、画面上の被爆者と疑似対話ができる。被爆80年となる2025年8月までの完成を目指す。
市は今年度、委託業者を選定し、被爆者5人へのインタビューを開始する。質問内容は被爆体験や当時の暮らし、次世代に伝えたいことや平和への思いなどを想定している。生成AIのように新たな動画を作り出すことはなく、質問に対応する適切な回答をそのまま再生する。計5台を製作し、日本語と英語に対応できるようにする。広島市中区の原爆資料館と国立広島原爆死没者追悼平和祈念館に1台ずつ常設するほか、他の3台は学校などでの活用を検討する。
市は製作費として計6820万円を見込んでいる。松井一実市長は5日の記者会見で「被爆者がいなくなる時代が確実に近づいている。人類史上初の被爆の惨禍を経験した人の心や気持ちをどう継承するかは喫緊の課題だ。被爆者の思いが伝わるようなものにしたい」と話した。【根本佳奈】
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