約10年にわたって空きビル状態が続く旧「苫小牧駅前プラザエガオ」=苫小牧市で2024年6月5日午後1時27分、平山公崇撮影

 約10年にわたって空きビル状態が続いていたJR苫小牧駅南口の旧商業施設「苫小牧駅前プラザエガオ」について、苫小牧市は土地の一部を所有している不動産会社の大東開発(苫小牧市)と再開発を協力して進めることで合意した。市が5日に明らかにした。2026年度から解体が始まる見込みで、同駅周辺で進む再開発が加速する。

 旧エガオは14年8月に閉鎖。市は当初、建物の解体を条件に跡地利用を計画する民間事業者に無償譲渡するため、土地と建物の権利集約を行った。ただ、約1070平方メートルを所有する大東開発がこの土地での事業展開を主張し、交渉は長期化していた。

 市は同駅周辺の再整備区域内に用意した土地との交換を提案。これを同社が受け入れて4日に調印を交わした。5日の記者会見で岩倉博文市長は「駅前再整備に向けて一歩前進した。国や道などとの協議や事業者の公募などを進めていきたい」と語った。市は無償譲渡に応じた28法人・個人にも経緯を丁寧に説明していく方針。

 市は今年2月、JR北と旧商業施設「苫小牧エスタ」の一部取得に合意。3月には、旧エガオ、旧バスターミナルなどの約3・3ヘクタールを再整備区域とし、商業スペース、ホテル、子育て支援施設などの設置を盛り込んだ「駅周辺ビジョンに基づく基本構想」をまとめた。5月には同区域内で2層式駐車場を所有する不動産業者とも同程度の市有地と交換することで合意している。

 解体費用は旧エガオが約15億円、旧バスターミナルが10億円で、市は負担方法などについて「民間提案をいただくなどあらゆる可能性を探る」としている。【平山公崇】

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