福島市の中心市街地からも目立つ大きく削れらた山肌。車を少し郊外に走らせると目の前に迫ってくるのがメガソーラーの建設地だ。周辺では雨による泥水の流入も確認されていて波紋が広がっている。

<関連は?きれいな川に濁り>
福島市中心部にあるビルの隙間からも見ることができる、吾妻山の一角を占める先達山で建設が進むメガソーラー。約95haの敷地に、太陽光パネルが10万5000枚以上敷き詰められる計画だという。
いま心配されているのは、景観の問題だけではない。福島市在庭坂の農業用水路の水は濁っていた。近くに住む人が疑っていたのは、メガソーラーとの関連だ。
住民は「工事前は、魚が泳いできれいな川でした。私は農業従事者じゃないので私は直接は影響はないのですが、農家の方は非常に不満だと思います」と話す。

<大雨でないのに泥水流出>
泥水の流出は、現在メガソーラーの建設が進む周辺の2カ所で確認されている。
県道70号線への流出が分かったのは、雨が降った6月2日。周辺で観測された総雨量は30ミリで、決して大雨とは言えない量だった。
現場近くの高湯温泉観光協会の永山博昭事務局長は「これほどの雨で、こんなになってしまうのかなと。ちょっと心配な状況ではありました」という。さらに「万が一、県道70号線が通れなくなると高湯温泉は孤立してしまう。観光の温泉地としてやってる高湯温泉としてはとても心配な状況」だと話した。
メガソーラーの建設をめぐり広がる波紋。事業者は「事業計画や工事の進め方に問題がなかったかどうかも含めて福島県と情報共有しながら確認を進めている」としている。

<工事停止と景観回復を求める>
「理屈を問わず、とにかくこれは中止しなければならない」と話すのは、メガソーラーの建設中止を求めて活動する、吾妻山の景観と自然環境を守る会の矢吹武さん。6月5日、自宅には「守る会」のメンバー10人が集まり、今後の活動について意見を交わしていた。
2024年2月に、工事の停止と景観の回復を求めて、福島県と福島市に提出した請願書には、1700人以上の署名が集まったが、まだ回答は得られていない。
矢吹さんは「私たちは、ここに生まれて、ここで育ち、ここで生活してきた。あの山に対して、このまま見過ごすというのは本当に申し訳なく思うわけ」と話す。
守る会では、今後も署名を募るなど活動を続ける方針だ。

泥水の流出について、福島県は現地で行った調査結果を公表した。建設現場の仮設水路が詰まっていたのが原因で、すでに排水機能を強化する対応策が取られたという。福島県は適切な開発を指導していくとしている。

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