大分県別府市は、大人に代わって日常的に家族の介護や世話をする「ヤングケアラー」に関するアンケートの調査結果などを公表し、市内の小中学校や高校に通う児童生徒6846人のうち、2・26%にあたる155人がヤングケアラーだと推計した。うち107人が負担軽減など支援が必要な状況にあるという。
アンケートは、困難な事情を抱える子供を見つけ、相談や支援につなげることを目的に、2023年9月から24年3月に実施。小4~高2を対象として、5658人から回答を得た。
回答を分析した結果、家族の世話や家事の手伝いなどを理由に「やりたいけどできないことがある」とした128人をヤングケアラーと推定。回答者数の2・26%を占めたため、回答を得られなかった1188人にも同じ割合でヤングケアラーが存在すると仮定し、全体の推計値を155人とした。
128人のうち89人が、家族の世話や家事を「仕方がない」「嫌だ」「こころがとてもつらい」などと負担に感じていたため、「支援が必要」と判断。回答者数に占める割合は1・57%だったため、同様の推計で107人と算出した。
また、128人の中には小学生で4人、中学生では3人が「学校に行きたくても行けない」と回答。中学生3人は「進路を変えなければならない」などと訴えており、深刻な悩みを抱える実態も浮き彫りとなった。
記者会見で結果を公表した長野恭紘市長は「現状や将来に不安を抱く子供が生まれないように、全力でサポートする」と発言。今回ヤングケアラーと推定したうち、行政側が接触可能な児童生徒は、学校などと連携して面談や継続的な見守りをしていくという。
さらに、必要があれば、ヘルパーの派遣なども検討する。また、今後も実態を把握するため、当事者だけではなく、周囲の大人らに向けた相談窓口(0977・21・1239)も開設している。【石井尚】
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