地震や大雨など甚大な被害をもたらす「自然災害」。電気・ガス・水道などライフラインが止まり、食事や排せつなど、それまでと同じ生活を送ることが難しくなる可能性がある。災害はいつ、どこで起こるか分からない。決して人ごとではない。
生活に欠かせない「水」について、アウトドアを取り入れた防災を広く伝える及川真一さんに教えてもらった。
自然災害が起きるとライフラインがストップしてしまう可能性があるが、特に水は、いざという時の備えとして欠かせない。
日本赤十字秋田短期大学の講師・及川真一さんは仙台市出身で、地元で東日本大震災を経験。自宅が大きな被害を受けた。これをきっかけに、災害時に「命を守り・つなぐすべ」を広く伝えている。
及川さんが今、重きを置いていることの一つが、能登半島地震で多くの人が苦しい生活を強いられている石川での活動だ。
日赤秋田短大 講師・及川真一さん:
「能登半島地震発生から現在まで、水が出なくて困っている人は多数いる。日にちがたってくると支援物資が届いたり、給水の支援が入ったりするので、困ってはいるけども支援を受けながら今を過ごすことができているという現状がある。支援が届くまでの自分たちの生活を守るための備えが重要になってくる」
及川さんは、1.5リットルの水が入ったペットボトル・24本を用意した。かなり多いようにも思えるが、何人の何日分だろうか。
日赤秋田短大 講師・及川真一さん:
「これは、4人家族の3日分を備えたら、このくらいになるという量」
1人が1日に必要とする飲み水は2~3リットルとされている。及川さんが用意したのは、1人当たりの必要量を1日3リットルとして備えた場合の量だ。
災害への備えとして、確保が望ましいとされているのは最低で3日、できれば1週間分だ。
日赤秋田短大 講師・及川真一さん:
「これは飲み水だけ。手を洗うとか生活用水として使うとなると、このほかにもっと水がまだまだ必要になってくる。そうなると『水の備えは意外に結構大変だ』と思う人がいっぱいいると思う」
備蓄にはスペースも必要だ。さまざまな状況を想定して備蓄の量を決めるが、水には「賞味期限」がある。
日赤秋田短大 講師・及川真一さん:
「2025年4月30日と書かれていると、それまでに飲まないといけないのかなと思う人がいっぱいいると思うが、実はそうじゃない」
消費者庁のホームページには、「飲料水は、賞味期限を過ぎても一律に飲めなくなるものではありません。品質の変化が極めて少ないことから、一部のものについては期限表示の省略も可能としています」と表記されている。
日赤秋田短大 講師・及川真一さん:
「なぜ期限があるのかというと、水が抜けてしまう、気化していく。内容量が減るので、味の保証というより、商品としての販売の期限があるという意味。なので、水を備える場合、“期限を気にしなくても備蓄できる”ことを知ってもらえれば、もうちょっと楽に備えられるのではないかと思う」
保存食に賞味期限があると、それを見てためらってしまうことがあるが、「一度買ってしまえばいい」と思えば安心だ。
日赤秋田短大 講師・及川真一さん:
「ただ、結構な量になるので、自分たちの家族の構成を考えて、どのくらい必要かという調整は必要」
そして「保管する環境」が重要だ。
水には香りが移ることがある。必要な時に「飲めない水」にしないよう、油や香水など香りが強いものの近くには置かないようにすることが肝心だ。
自然災害はいつ、どこで起こるか分からない。「いつか」ではなく「いま」、いざという時のことを考え始めてほしい。
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