自民党の平井卓也デジタル社会推進本部長(元デジタル相)は2日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、被害が拡大しているSNS著名人なりすまし詐欺広告の問題に関し、広告を掲載したまま放置している大規模プラットホーム事業者を「詐欺ほう助ではないか」と強く批判した。

インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷などの被害者から削除要請を受けた大規模プラットホーム事業者に一定期間内の削除要請への対応や削除基準の策定・公表を義務づけた情報流通プラットホーム対処法(情プラ法)が今国会で成立、公布されたが、平井氏は「場合によってはさらに厳しくする必要がある」と述べた。

立憲民主党の中谷一馬政調副会長(党デジタル政策PT座長)も法改正の必要性を訴えた。

番組コメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)は、大規模プラットホーム事業者がなりすまし詐欺広告からも広告料を受け取っていることを指摘し、事業者が被害者からの削除要請後も広告を削除せず放置すれば「完全な詐欺ほう助だ」と指摘。被害者が事業者に対し、集団訴訟を提起しやすくするための仕組みを整えるよう平井氏と中谷氏に要請した。

以下、番組での主なやりとり。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
SNSを使ったなりすまし詐欺被害。橋下徹さんも勝手になりすましのサイトを作られて、投資の呼びかけが行われている。被害者がプラットホーム事業者側の責任を問うても、なかなか対応してもらえないという橋下さんの話もある。

平井卓也氏(元デジタル相、自民党デジタル社会推進本部長):
私も(プラットホーム事業者には)相当厳しく対峙(たいじ)してきた。特にメタ社に対しては国会招致の申し出もしながらやっているが、彼らもテクノロジーを使って(悪質な)広告をはじいてはいる。それでも、ほとんどすり抜けて広告が出てしまうという。これはもう詐欺のほう助じゃないかと、そういう議論をしている。今国会で与野党が協力して情報流通プラットホーム対処法(情プラ法)をつくったが、場合によってはさらに法律を厳しくする必要があると思っている。捜査する側の能力も上げなければいけない。(悪質広告は)ほとんど海外からやられている。日本には通信の秘密があって、海外との怪しい通信ものぞいてはダメということになっている。このためサイバー攻撃や今回の(SNSなりすまし詐欺の)犯罪もなかなか(犯人を)捕まえるのが難しい要因の一つとなっている。

橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事):
情プラ法を作ったのは一歩前進だ。決定的なポイントは、情プラ法は一定の期限を定めて削除をするかどうかの判断を(被害を申し出た人に)通知しなければいけないというもので、削除しない場合がある。

平井氏:
そうだ。

橋下氏:
SNSなりすまし詐欺広告の問題に限らず誹謗中傷問題でも、被害者がプラットホーム事業者に削除要請しても、事業者がしない(場合がある)。それで裁判の手続きを取らざるを得なかった。だから一定期間内に判断させる今回の法改正は一歩前進だが、おそらく簡単には削除してこないと思う。削除しなかった場合に個人が訴えるというのは相当労力がかかる。消費者契約法には適格消費者団体が集団訴訟的なものをできる仕組みがあるが、(SNSなりすまし詐欺などでも)集団訴訟的なことを使えるような何か武器を与えてもらいたい。

中谷一馬氏(立憲民主党政調副会長、党デジタル政策PT座長):
私もそういう改正をしていく必要があるのではないかと思っている。オーストラリアも政府として訴訟をするなど、メタ社に対するプレッシャーをぐっとかけている現実がある。いま本当に多くの人がなりすましの広告や詐欺被害に非常に困っている現実がある。

橋下氏:
被害額が大きいということもある。広告料を取ってプラットホーム事業者は莫大(ばくだい)な利益を上げているわけだから、「(対策を)やっている、やっている」といくら言っても、もう結果責任だ。削除要請があり、広告料も取っている状況であれば、それ以降削除せずに放置しているのなら、これは完全に詐欺ほう助だ。

平井氏:
全く同感だ。

橋下氏:
気づかないというのはわかる。全世界でさまざまな広告が出てくるから、わからないということがあるにせよ、少なくとも被害者側から、肖像を使われた側から削除要請があったにも関わらず、1週間かそこら放置していたならダイレクトに罰則は詐欺ほう助にするという結果責任を負わせることにすれば、プラットホーム事業者側も必死になって体制を組むはずだ。

平井氏:
彼らはものすごい金を使って(対策を)やっていると言う割に結果が出ていない。ここはやはりその結果責任を負わすというのが正しいと思う。いま日本における広告の43%がデジタル広告に流れてしまっている。既存メディアの広告で同じようなものを流したら、それこそ責任者は責任を取らなければならない。

橋下氏:
地上波だと大問題だ。

平井氏:
大問題。既存の広告のマーケットが今までいかに信用が高く、その状態が当たり前だったかということをもう一回考えなければいけないと思う。

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