能登半島地震の被災地で約4カ月にわたって活動した災害支援車が、先日、山形市に帰ってきた。開発した企業は被災地で役に立ったことを喜び、さらに機能を強化していきたいと話している。

石川から帰って来たのは、山形市の大江車体特装が開発した災害支援車「LCX」。
この車の強味は、1台でガス・電気・水の供給ができること。

発電機とガスボンベ・浄水器が搭載され、ガスを燃料に発電機を動かして携帯電話の充電などに電力を供給できるほか、汚れた水を汲み上げてろ過する浄水器を動かすことができる。
そして、そのきれいな水とガスを使うと炊飯や調理も可能となり、「動くライフライン」として、1台で500人規模の災害支援を行うことができる。

今回の支援は、石川・珠洲市の社会福祉協議会からの要請によるものだった。
1月26日に山形市を出発し、5月17日に帰還するまでの約4カ月間、無償で貸し出され、現地で活躍した。
現地まで兄弟2人で「LCX」を運んだ大江晴久社長は、土砂崩れなどで道が寸断され
、到着まで18時間かかった当時の状況をこう振り返った。

(大江車体特装・大江晴久社長)
「1月に運んだ時は絶望的な雰囲気を感じた。行くまでがこんなに大変だとは思わなかった。家が倒壊している、信号機が点いていない、アスファルトの舗装道路が割れている。それが延々と続いている」

当時の珠洲市は、電気は復旧していたが、水道は壊滅状態。「LCX」は、主に飲み水を提供するために活用された。
避難所を回って、雪解け水や雨水・池の水を浄水器でろ過して提供した。
飲み水を確保できたことで、珠洲市が行うデイサービスも再開した。

(大江車体特装・大江晴久社長)
「デイサービスが再開して、地域の高齢者の方が毎日通ってくる。その表情を見ていると『日に日に明るくなってくる』と聞いて、非常に役に立つ車だったのかなと感じた」

大江社長の会社が「LCX」を開発したきっかけは、東日本大震災。
具体的な支援を何もできずに「非常に情けない思いをした」という。その経験を踏まえ、県の防災アドバイザーの助言を受けながら約2年前に「LCX」を完成させた。
今回の珠洲市では、多くの人の生活を支え希望の光となった。

(大江車体特装・大江晴久社長)
「シャワーをつけて、風呂に入れない場所でも使える車。キャンピングカーではないが、多様性を持った使い方ができる車にバージョンアップできればと考えている」

大江社長は今後、県内のイベントなどで「LCX」の特徴を体験してもらえる機会を提供したいと考えている。

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