写真はイメージ=ゲッティ

 従業員の半数前後は会社からの管理を過剰だと感じている――。そんな傾向が、人材育成支援のリクルートマネジメントソリューションズ(MS)が20代後半~50代前半の正社員を対象にした調査で明らかになった。同社は「行き過ぎたり、無意味と感じさせたりする管理は、社員を疲弊させ、離職につながるケースも考えられる」としている。

 調査は2~3月、経営者・役員を除く正社員930人にインターネットで実施した。会社による管理の過剰感について、「管理しすぎ」(46・3%)、「息苦しさを覚える」(45・9%)、「わずらわしい」(46・9%)などの回答が半数近くに上った。過剰な管理だと感じるものとしては、ノルマ・行動管理▽監視▽規則・手続きが多い▽決裁・根回しの煩雑さ――などの回答が目立った。

 これらの影響として、「業務を圧迫している」「自分で考えなくなる」「前向きな仕事に着手できない」「機会損失とやる気を失わせる」――などと深刻な声も寄せられた。

 実際に管理が過剰かどうかは、個人の感じ方にもよるため客観的に判断するのは難しい。そのため会社の特徴や環境別の分析も実施した結果、「一度作ったルールや制度は、なかなか撤廃・改善されない」「意思決定に際し、稟議(りんぎ)や根回しが煩雑」といった、ルールの形骸化や閉塞(へいそく)感が顕著な会社ほど、社員が管理を過剰だと感じやすい傾向がみられた。逆に「社内のルールや制度について、従業員が意見を言える」「意思決定スピードが速い」「従業員や関係者の健康や安全を重視している」「成長できる機会が多くある」といった会社では、そうした傾向が弱かったという。

 リクルートMSの担当者は、会社や上司による管理は組織の効率性やリスク回避の観点から必要だとした上で、「従業員が自分たちの健康や安全、成長を考慮した管理だと受け止めていれば、過剰感は生じにくい」と分析。管理をする側は「ルールや制度の意図や背景を明確に伝え、従業員が管理をどう受け止めているかに意識を向けることが重要だ」と指摘している。【嶋田夕子】

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