重度の脳障害がある男性が病気で亡くなる前日に自宅を売却する契約を不当に結ばされたとして、遺族が不動産会社を訴えた裁判で大阪地方裁判所は全面的に遺族の訴えを認めました。

■交通事故の後遺症で記憶力や認知機能が低下 

訴状などによると柳発秀さん(当時51)は、2017年交通事故の後遺症で高次脳機能障害と診断され、記憶力や認知機能の低下により働くことができなくなりました。

柳さんは大阪市内の一軒家で1人暮らしをしていました。

【兄・南秀さん】「家がゴミ屋敷みたいになって、壁に血がついていてすごくひどい状態で」

そして、2022年6月、柳さんは自宅から離れた集合住宅の一室で倒れている所を発見され、病院に運ばれましたが亡くなりました。

■自宅を売却 契約は亡くなる前日

遺族は、柳さんが自宅ではなく、集合住宅で亡くなっていたことなどを不審に思い、弁護士などと調査をしたところ不可解な事実が明らかになります。

柳さんが自宅を売却したという契約書のコピーでは、契約した日は亡くなる前日になっています。

【兄・南秀さん】「遺留品を取りに行ったら鍵がなくて、弟の口座にお金2200万が振り込まれたりとか、現金が振り込まれた後は何もない」

■「契約内容を理解する判断力なく契約無効」賠償求め不動産会社提訴

遺族は不動産会社に対し、「柳さんは生活の基本的なこともできなくなっていた」「契約内容を理解する判断力はなく契約は無効」として2150万円の損害賠償を求めて2022年に裁判を起こしていました。

不動産会社は「家を売った代金は発秀さんの借入金の返済に充てられた」「発秀さんには十分な判断力があった」と反論していました。

■不動産会社に2150万円の支払い命じる判決

30日、大阪地方裁判所(葛西功洋裁判官)は、原告の訴えを全面的に認め、不動産会社に対し、2150万円を支払うよう命じました。

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